脚立1つでこんなにある!?事故を防ぐための安全管理チェックポイントとは?

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「脚立を使うときの安全管理のチェックポイント」についてまとめてみました!ぜひご参考にしていただければと思います。

建設業を始めとした現場作業では様々な道具、器具類を使用して作業にあたります。

たとえば脚立は室内、屋外の工事や作業において多く使用される器具です。

ただ、脚立は日常生活においてもよく使用されるものなので、安全対策について意識せずに使用している人も多い傾向があります。

業務用の脚立の天板は、普通に販売している物でも240cmほどの高さがあることから、天板付近から落下すれば命に関わる労働災害に繋がる可能性もあります。

今回は身近な道具である「脚立」を例にして、安全のためにどのようなポイントを意識すべきかを紹介していきます。

目次

脚立作業で守るべき安全ポイント

脚立の写真

脚立を使用した作業では、墜落制止用器具(安全帯やハーネスなど)の併用が必要となる場合があります。

脚立の天板は地上から2m近い高さになることも多く、そこからの転落は重大な労働災害につながる危険があるためです。

こうした事故を防ぐためにも、脚立作業における安全管理のポイントをあらためて整理しておきましょう。

設置場所の確認

脚立を安全に使用するためには、安定した平坦な場所に設置することが基本です。

特に屋外では、泥や砂利など脚立が沈み込むような不安定な地面での使用は避けてください。

沈下やぐらつきが発生すると、わずかな体の動きでもバランスを崩して転倒する危険があります。

姿勢・作業動線の見直し

脚立上での高所作業では、無理な姿勢が続くとバランスを崩しやすくなり、転倒や墜落の原因となります。

天井ボードの貼り付けや軒下での取り付けなど、長時間にわたる作業では特に注意が必要です。

安全な姿勢を保つためには、作業面に対して脚立の昇降面を正対させ、両足をそろえて片側の踏ざんに乗るのが基本です。

その際、天板や踏ざんの側面にスネなど体の一部を軽く当てるようにすると姿勢が安定しやすくなります。

脚立をまたぐように足の間に挟んで作業する光景がよく見られますが、安全な使用方法とは言えません。

作業範囲が脚立の設置可能な位置を超えるような場合は、無理をせず、足場や作業台などの使用を検討しましょう。

踏み面の面積

踏み面の幅が狭い脚立では、安定した体勢を保ちづらくなります。

立ち位置の確保や作業スペースを十分に取れるよう、踏み面が広い脚立の選定が推奨されます。

また、天板に乗って作業することは原則禁止されている点も改めて確認が必要です。

開き止めの常設

脚立には必ず開き止めを使用してください。

開き止めでロックされていない状態では、作業中に転倒や転落の危険性があります。

墜落制止用器具の着用

脚立作業であっても、1mを超える高さで作業を行う場合には、設置できるスペースがあれば墜落制止用器具(ハーネス等)を使用することが推奨されています。

2022年1月の労働安全衛生規則の改正により、「高さ2m以上」「作業床がない」「手すりや囲いの設置が困難」といった条件を満たす場合には、フルハーネス型墜落制止用器具の着用が義務付けられるケースがあります。

点検と保守管理

脚立は屋外での使用によって腐食や劣化が進みやすいため、定期的な点検が欠かせません。

接合部のゆるみ、踏み板のひび割れ、ゴム足の摩耗など小さな劣化が重大事故につながることがあります。

両手が塞がった状態での昇降禁止

インパクトドライバーやかなづち、釘類、ビス類、ボード板等、脚立上で使用する資材や道具は多いですが、これらの道具で両手が塞がっている状態での昇降は原則として禁止です。

ハシゴとして使用している場合にも同様のことが言えます。

労働災害は当たり前を忘れた頃に発生する

脚立に乗って作業する作業員

脚立作業に関するチェックポイントを見ると、「こんなにあるのか」と感じるかもしれません。

しかし、多くはすでに無意識に実践されている内容であり、実はどれも基本的な対策ばかりです。

こうした小さな「当たり前」の積み重ねこそが、労働災害を防ぐ最も確実な方法です。

造園業の作業員

一方で、作業が長期化したり繰り返されたりすると、次第に注意力が薄れ、「慣れ」や「油断」が生じます。

この瞬間こそが、重大事故が起こるタイミングです。

安全管理マニュアルが整備されていても、形だけで終わっていれば意味がありません。

日々の現場でルールを実行に移せるかどうかは、作業者一人ひとりの意識と、それを支える企業側の姿勢にかかっています。

安全対策を周知するための取り組み

脚立の正しい使い方

安全管理に関する講習会は、現在でも多くの現場で実施されています。

しかし、形式的な参加にとどまり、内容が十分に理解されないまま終わってしまうケースも少なくありません。

加えて、学んだ対策が実際の現場で徹底されていないという課題も見られます。

こうした状況を改善し、安全意識を現場に根づかせるためには、雇用側が主体となって安全対策を継続的に働きかける姿勢が欠かせません。

講習を実施するだけでなく、日々の声かけやルールの見直し、安全器具の整備など実践的な取り組みが求められます。

安全に対する取り組みは、事故やトラブルが発生したときだけ見直すのではなく、業務の中にあらかじめ組み込まれた「仕組み」として継続することが重要です。

まとめ

脚立作業における安全対策には、多くの確認ポイントがあることがお分かりいただけたかと思います。

どれも特別なことではなく、日々の現場で無意識に行われているような「当たり前」の行動ばかりです。

この当たり前をどれだけ丁寧に積み重ね、維持し続けられるかが、安全管理の基本となります。

安全な作業環境を作るためには、器具や設備の整備だけでなく、関係法令の共有や具体的なマニュアル化といった制度面の整備も欠かせません。

こうした取り組みは現場の従業員だけでなく、雇用する側が主体的に推進すべきものです。

さらに、万が一事故が発生した際にどのように対応すべきかをあらかじめ把握しておくことも、同じ過ちを繰り返さないために重要です。

作業にリスクが伴うことは想定できる問題であり、リスクを前提とした仕組み作りこそが労働災害を防ぐ第一歩です。

脚立1つを例にしても、現場には見直すべき要素が数多く存在しています。

今一度、安全管理体制を確認し、事故ゼロの職場作りに向けて、組織全体で取り組んでいきましょう。

脚立に乗って作業する作業員

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