高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「フロン排出抑制法」に焦点を当て、責任と定期点検についてまとめてみました。
地球の環境問題を改めて考える意味でも、ぜひ有用な知識として参考にしていただければと思います。
2015年にフロン排出抑制法という法律が施行されました。
対象となる企業では、フロン排出抑制法に沿った定期点検を行う際のさまざまなポイントについて知ることが大切です。
フロン排出抑制法とはいったいどういうものか、規制の内容や対応方法についてなどのほか、フロン排出抑制法の責任や管理に関することを詳しく説明していきます。
フロン排出抑制法とは?
フロン排出抑制法は、フロンガスを含む汚染物質の大気中への排出を規制する法律で平成27年の4月に施行されました。
フロンは、エアゾール推進剤、冷媒、消火剤など、多くのガス製品や工業製品に使用されている化学物質の一種です。
フロン排出規制法は、これらの化学物質の排出を規制し、環境への影響を最小限に抑え、より安全で健康的な大気を作り出し健康的に生活できるようにと作られました。
特にフロンガスを含む製品の製造者、事業者、管理者は、フロンガスが制御された安全な方法で環境に放出されるような措置を講じなければなりません。
この措置には、フロン排出量を可能な限り低く抑えるように設計された制御システムの導入と維持が含まれます。
また、排出制御のための管理システムが適切に機能していることを確認するための定期的な検査も義務付けられています。
2020年4月に改正
フロン排出抑制法は、2020年4月に改正されています。
この改正により、「改正フロン抑制法」となりフロンガスなどの使用量を削減するための新たな規制が追加されました。
例えばこれまでの規制に加え、機器廃棄時に事業者がフロン回収を行わない場合の直接罰の導入などが挙げられます。
この改正によりフロンの排出削減の目標が引き上げられ、温室効果ガスの排出削減をより強化することが期待されています。
どのような機器が対象となる?
冷媒としてフロン類を使用している機器が対象となります。
具体的には次のようなものがあります。
業務用冷凍空調機器
- パッケージエアコン
- 業務用冷凍冷蔵庫
- 冷凍冷蔵ショーケース
- ターボ冷凍機
- 輸送用冷凍ユニット
第二種特定製品
- 車のエアコン
その他家庭用機器
- 家庭用冷蔵庫
- 家庭用エアコン
フロンの排出原因と環境への影響
フロンの排出源は工業プロセスや建築、消費者製品などさまざまなものがあります。
フルオロカーボンを含む化学物質の燃焼、生産、包装、輸送に起因することがあるほかエアゾールスプレー、冷蔵庫、エアコンなどの消費者製品からも、使用中や廃棄時にフロンが排出される可能性があります。
フロン類は地球温暖化の原因といわれているため、これを放っておくと環境に対する脅威となります。
また、フロンは空気中に排出されると長い時間を掛けてオゾン層までたどり着き、オゾンを構成する原子とひとつになることでオゾン層を破壊してしまいます。
オゾン層が壊されることによって地表の紫外線量が増加し、皮膚がんなどの原因になるといわれていることも懸念されています。
フロン類使用機器の管理者に課されること
フロン類使用機器の管理者には適切な使用環境を維持するために、定期点検や簡易点検、記録の保存などが必要です。
管理者とは原則としてその機器の所有者であるかどうか、または所有者でなくてもその機器を管理する責任のある者をいいます。
機器設置時
機器の設置時には、適切な設置方法を取り使用環境が維持できるようにしなければなりません。
設置が適切であれば日常点検も楽になります。
また、設置する機器もノンフロン製品や温室効果の低いフロン製品を検討することが求められます。
日常的な管理
簡易点検や定期点検を行い、その結果を記録・保管することが必要です。
これは法改正後に義務付けられたもので、管理者は必ず行わなければなりません。
フロン類の漏洩量が多い場合
もし機器からフロン類が一定量以上漏洩した場合には、国への報告が必要です。
加えて漏洩箇所の修理を整備業者などに依頼しなければなりません。
管理者への罰則について
管理者への罰則についてはこのようになっています。
管理者への罰則
- フロンの放出をみだりにした時
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 管理者の点検等の義務違反
- 工程管理表交付違反
50万円以下の罰金
- 管理の適正化の実施状況報告を求めた際の未報告や虚偽報告
- 立ち入り検査の収去の拒否や妨げ、忌避
20万円以下の罰金
- 算定漏洩量の未報告や虚偽報告
10万円以下の過料
フロン排出抑制法を順守するために私たちができること
フロン排出抑制法によって、フロンを製造、使用、廃棄、またはその他の方法で取り扱うすべての事業者が、法律の要求事項を遵守しなければならないのです。
これらの事業者が法律を遵守するためには、さまざまなステップを踏まなければなりません。
その中で最も重要なのは、フロン排出を抑制するための機器やシステムが適切に設置され、環境負荷が低減されるように維持管理されることです。
そのため定期的な点検を行うことが求められており、それは機器を使う私たち一般ユーザーにも課されています。
ここではビル用のマルチエアコンを例に挙げ、どのような点検をする必要があるのかを見てみましょう。
室外機点検
室外機点検の点検項目には、以下のようなものがあります。
- 機器の異常振動・異常運転音はないか
- 機器及び機器周辺の油のにじみはないか
- 機器のキズの有無、熱交換器の腐食、錆びなどはないか
室内機点検
- 熱交換器に霜が付いていないか
これらの点検は、目視で簡易点検を実施していけば充分です。
始めのうちは設備業者、保守・メンテナンス業者などの専門業者のアドバイスを元に行うようにしましょう。
点検頻度は1日に1回以上が推奨されています。
まとめ
フロン排出抑制法は、オゾン層を破壊する化学物質の大気中への排出を規制するために必要な法律です。
フロン排出抑制法の適用を受ける企業や組織は、定期的な検査を実施し、法令を遵守していることが求められています。
よりよい地球環境を保てるように、また企業コンプライアンスを確保するためにも、適切な管理と規制の理解をして遵守していきましょう。
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