
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「労働安全衛生マネジメントシステム(通称OSHMS)」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。
職場での労働災害を減らし、従業員が安心して働ける環境を作るためには、安全管理の仕組みが欠かせません。
その国際的な枠組みが「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)」です。
この記事では、労働安全衛生マネジメントシステム導入のメリットから運用方法までを分かりやすく解説します。
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)とは

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)とは、どのようなものかイメージできない人もいるかもしれません。
OSHMSというのは、Occupational(職業に関する)、Safety(安全)、Health(健康)、Management(管理)、System(仕組み)という英単語の頭文字で労働安全衛生マネジメントシステムを示す国際的な呼び方として使われています。
1999年に厚生労働省が策定した「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(OSHMS指針)」は、日本の労働安全衛生法令の体系に合わせて構築された国内版のマネジメントシステムです。
法令遵守を前提に安全衛生活動を計画的に進める仕組みを作り、職場の自主的な取り組みを高める内容になっており、企業が自主的に取り組むべきガイドラインとして位置づけられています。
OSHMSではPlan(計画)、Do(実施)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを回し、職場に潜む危険性を体系的に洗い出し、リスクの大きさを評価したうえで優先順位をつけて対策を実施します。
一度システムを構築して終わりではなく、定期的な見直しと改善を繰り返すことで安全衛生管理の質が向上していきます。
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を導入するメリット

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入メリットについてお伝えします。
労働災害の減少
OSHMS を導入すると職場の危険を体系的に洗い出し、優先順位をつけて対策を進められます。
危険性評価を軸にした取り組みを続けることで、重大災害を未然に防ぐ流れが作れます。
そして従業員の安全意識も高まります。
経営層が方針を示し、全員参加の安全衛生活動を進めることで自分の業務に潜む危険を理解し、
安全な作業方法を実践する習慣が定着します。
法令遵守の仕組みが整う
OSHMS の導入で法令の要求事項を整理し、定期的に確認する仕組みが整います。
その結果、法改正への対応漏れが減り、行政指導や罰則のリスクを低減できます。
法令違反による事業停止や信用低下を避けられる点も大きなメリットです。
OSHMS の認定を取得すれば、取引先や顧客に対して安全衛生管理の水準を示せます。
公共工事や大規模企業の入札では、安全衛生管理体制を評価項目として扱う場面が増えており、
ビジネス面での優位性にもつながります。
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入プロセス

OSHMSを構築するには、計画から運用、評価、改善までの一連のプロセスを踏む必要があります。
以下のように段階的に進めることで、組織に適したシステムを構築できます。
社内への認知
経営層が労働安全衛生方針を策定し、全従業員に表明します。
掲示や配布だけでなく、経営層自らが説明会を開いて方針の意義を説明することで組織全体の意識を高めます。
協力会社や構内で働くすべての人にも方針を共有し、一体となった活動を目指します。
それに伴い、総括安全衛生管理者や安全管理者、衛生管理者などの法定の役職者に加えて、各部門の安全衛生担当者を指名します。
それぞれの役割と権限を文書化し、責任の所在を明確にします。
危険性評価の実施
職場に存在するすべての危険性を洗い出します。
機械設備、化学物質、作業方法、作業環境など、あらゆる要素を対象とします。
過去の労働災害や現場の作業員へのヒアリングなどからヒヤリハット事例を分析し、類似の危険が他の場所にも存在しないか確認します。
その後、特定した危険性についてリスクの大きさを評価します。
定量的な評価が難しい場合は、高・中・低のような段階評価でも構いません。
評価結果を記録し、組織全体でリスクの状況を共有します。
許容できないリスクに対しては必ず対策を実施し、許容範囲内のリスクについても可能な限り低減措置を検討します。
目標設定と計画策定
安全衛生目標は、測定可能な数値で設定します。
例えば、労働災害発生件数ゼロ、特定の危険作業における安全装置設置率100%、安全教育受講率の向上などです。
目標は現状分析に基づいて設定し、達成可能でありながら挑戦的なレベルを目指します。
実施計画では、誰が、いつまでに、何をするかを明確にし、必要な予算と資源を確保します。
年間計画だけでなく、月次や四半期ごとの具体的なアクションプランに落とし込むことで、進捗管理がしやすくなります。
定期的に目標の達成状況を確認し、予定通りに進んでいない場合は原因を分析します。
PDCAサイクルを回すことで、継続的な改善を進めていきます。
まとめ
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)は、職場の危険を体系的に管理し、労働災害を未然に防ぐための仕組みです。
経営層が方針を示し、リスク評価を行い、定期的に見直すというPDCAサイクルを回すことで継続的に安全レベルを向上させることができます。
OSHMSの導入を検討している場合は、まず自社の安全衛生管理の現状を把握することから始めましょう。

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