高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「作業効率化のための現場環境整備」についてまとめてみました!
ぜひご参考にしていただければと思います。
「工期が間に合わないから多少の問題には目をつぶろう……」
「安全丁寧に作業を進めていると効率が落ちてしまう……」
「慣れているから特に問題ないだろう……」
現場監督や作業員の方々であって、過去に少しでも上記のような考えが頭に浮かんだことはないでしょうか?
また、現場には出ないという方であっても経営上の問題として安全管理=手間とお金がかかるものだと考えたことはないでしょうか?
安全管理は何よりも重要なことですので、おろそかにするべきではありません。
環境次第で効率は大きく変化するもの。もしも安全のために先送りにしている問題があったとしても、環境を見直すだけで解決に繋がるかもしれません。
この記事では、安全を確保するために環境を整備することの重要性についてお伝えしていきます。
不完全な環境が非効率を生む
現場単位で作業を進めるとなると、工程表の作成やスケジュール管理などはもちろん、作業員の体調管理なども環境次第で変化することを前提にしなければなりません。
過剰労働がかえって効率を落としてしまうように、工程やスケジュールは”安全管理”が完全な状態ではじめて完成するものだと言えます。
これらを疎かにし、ヒューマンエラーや作業事故が起こる可能性を残せば残すほど、作業にあたる人員の心理的な負担が大きくなるため、作業への集中力を持続させること自体が難しくなってしまいます。
極論を言えば、小さな足場があれば効率化が図れる作業を、脚立の横移動と昇り降りで代用しているようなものです。
もちろん、上記のような例えはケースバイケースで対応する必要がありますが、少なくとも後者の方が効率は落ちるということは容易に想像ができるかと思います。
安全が確保されていない状況とは、理屈で言えば作業ラインを無理やりに曲げているのと同じような非常に非効率な状態になるというわけです。
物理的な負担は心理的な負担にも繋がる
安全管理という意味で考えると、物理的な安全が担保されていない環境で作業を行うことは、作業にあたる方々には心理的な負担を与えることに繋がります。
環境を整備することによって、心理的な負担を軽減できるということです。
この場合の心理的な負担とは、端的に言えば「ストレス」や「プレッシャー」のような苦痛です。
思い通りに作業できないことが原因でイライラしたり、作業が雑になったりという経験は誰しも思い当たる節はあるのではないでしょうか。
安全を確保することによって物理的な負担を取り除けるのであれば、これほど効率化に近づける方法はないと言えます。
「働きやすい環境を作ること」は、作業の効率化だけでなく作業員のモチベーション向上にも繋がります。
働きやすい環境だけで安全管理が完成するわけではないですが、少なくとも大きな割合を占めていることは疑いのない事実だと言えます。
品質低下への懸念材料
物を作る、何かの作業をする、ということはその先に何かが完成したり、変化が起こることを前提に行うものです。
しかし、速度だけに気を取られてしまうと約束した品質を維持できなくなったり、作業のやり直しが必要になったりと最終的に効率を下げてしまう可能性が大きくなります。
もちろん、お客様やクライアント様への信用問題にも発展する可能性がありますが、環境が整えられていない状況では一概に作業員の責任だけを追求することはできません。
安全確保も同じであり、労働災害になれば責任を追求されるのは企業や会社の在り方であり、取り組み方なのです。
特に怪我などに繋がりやすい業種においては、雇用主と働く人々との間の軋轢にもなりかねないため、信頼関係が大きく崩れてしまうこともあるわけです。
作業員間で経験や年齢によって、作業の速さや丁寧さに差があるのは仕方のないことですが、安全に対する負担は誰であっても平等であると言えます。
仕事の属人化という問題
安全な作業は平等に行うものの、危険の伴う作業は経験値の高い作業員や慣れているという理由で特定の誰かが担当するような環境にありませんか?
この状態は、長い目で見ると会社や企業にとってはマイナスを生み出してしまいます。
日本の労働生産性は先進国の中でも低いと言われていますが、これらの問題の1つに取り上げられるのが「仕事の属人化」という問題です。
仕事の属人化とは、いわゆる特定のスペシャリストに頼る場面が多くなっている状況を指す言葉です。
日本独自の「職人文化」などは特にこの色合いが濃いものだと思います。
ノウハウの共有や組織の拡大への弊害があることもちろんですが、属人化に安全問題が含まれていると、その作業員が不在になった場合に作業の穴埋め自体をすることが難しくなってしまいます。
場合によっては現場が止まってしまうような事態に発展する可能性もあるため、安全問題を解決した上で作業ノウハウの共有化を進めることが、属人化を避けるための有効な方法の1つです。
労働災害は損失しか生み出さない
安全管理をしたうえで起こった労働災害であっても、安全管理を怠った場合に起こった労働災害であっても、労働災害自体にプラスの側面は存在しません。
特定条件下での高所作業におけるフルハーネス着用が義務化されたように、人的損失や時間的な損失は労働災害が原因になることが圧倒的に多いのです。
働き方改革の提唱によって、様々な問題の見直しは政府主導で行われていますが、まだまだ危険の伴う現場作業においては解決すべき問題が多いと言われていますし、実際にそのような現場を目にすることは非常に多いです。
これらの問題において真っ先に取り上げられるべきは安全問題であり、労働災害を未然に防ぐことが最重要であることは言うまでもありません。
まとめ:労働環境を整備して効率化
安全確保に始まる労働環境の整備は、以下のような効果があります。
- 作業効率化
- 作業員への負担軽減
- 品質低下への対策
- 属人化への対処法
これらは、取引先の企業やクライアント様に対する信頼関係にも繋がるものです。
また、企業内であっても「自分の会社はしっかりと安全対策をしている」という周知が可能なため、会社に対する信頼感が高まり、組織的な生産力の上昇にも期待が持てます。
無理な工程やスケジュールが続いていたり、現状に何か問題があると感じられている場合には、まず「労働環境」という目の前にある問題に一度目を向けてみてはいかがでしょうか?
労働環境以外の問題点が発見できるかもしれませんし、組織としての動き方を改善するための一歩に繋がるかもしれません。
現場での事故を「ゼロ」にするために、労働環境の整備を今一度考えてみていただけると幸いです。
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