高所作業車作業計画書とは?作成義務の法的根拠と現場で使える書き方のポイント

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「高所作業車作業計画書」についてお伝えしていきます。
ぜひご参考にしていただければと思います。

高所作業車を使用する現場において、必ず作成しなければならないのが「高所作業車作業計画書」です。

労働安全衛生規則で定められた法的義務であり、何より作業員の命を守るために大切なものです。

本記事では、高所作業車作業計画書の概要、書き方について解説します。

目次

高所作業車作業計画書とは?

建設作業や荷役作業など、重機や大型機械を使用する現場では常に危険が伴います。

そのため、労働安全衛生規則では、危険を伴う機械による作業についてそれぞれの特性に応じた「作業計画書」の作成を義務付けています。

対象となる機械は高所作業車だけではありません。

以下のような機械を使用する場合も、同様に計画書の作成が必要です。

使用する機械の区分対象機械の例
車両系荷役運搬機械等フォークリフト
ショベルローダー
フォークローダー
ストラドルキャリヤー
不整地運搬車
構内運搬車
貨物自動車トラック、ダンプなど
(荷の積卸し作業時)
車両系建設機械ブルドーザー
トラクター・ショベル
ドラグ・ショベル(パワーショベル)など
ジャッキ式つり上げ機械ジャッキ式つり上げ機械
(荷のつり上げ等の作業時)
高所作業車高所作業車
(作業床で作業を行うとき※)
移動式クレーントラッククレーン
ラフタークレーンなど

このうち高所作業車の特性(高さ、転倒リスク、墜落リスクなど)に特化して作成するものが高所作業車作業計画書ということです。

労働安全衛生規則での規定

高所作業車を用いて作業を行う場合、事業者はあらかじめ作業計画を定め、その計画に基づいて作業を行わせなければなりません。

これは労働安全衛生規則 第194条の9によって義務付けられています。

労働安全衛生規則 第194条の9(作業計画) 事業者は、高所作業車を用いて作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の状況、当該高所作業車の種類及び能力、作業の種類並びに当該高所作業車の運行経路を適応させた作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。

出典:e-GOV|労働安全衛生規則

計画書なしで高所作業車を使用させることは、法令違反(コンプライアンス違反)となります。

作成・周知の義務

労働安全衛生規則(第194条の9など)に基づき、高所作業車で作業を行う場合は、事業者は以下のことを実施しなければなりません。

事業者の義務

  1. 計画の作成 現場の状況(広さ、地盤、障害物など)および、使用する高所作業車の種類と能力(作業床の高さ、積載荷重など)に応じた、無理のない作業計画書を作成すること。
  2. 作業方法の明示 計画書の中に、具体的な「作業方法」と「運行経路」を示すこと。
  3. 関係者への周知 作成した計画書の内容を、運転者だけでなく作業に関わる全ての関係者に周知徹底すること。
  4. 作業指揮者の選定と指揮 計画書に基づき作業を指揮する者を定め、その者の指揮のもとで作業を行わせること。

つまり、現場の状況に即した計画を立て、それを作業員全員が理解している状態にし、当日は計画通りに動くよう管理するところまでがセットで求められています。

高所作業車作業計画書は、現場で機能する「安全のルールブック」として運用する必要があります。

高所作業車作業計画書の書き方

実際に高所作業車作業計画書の書き方について見ていきましょう。

表を構成する4つのブロックごとに、書き方の重要ポイントと、安全管理上の注意点を解説します。

参考:厚生労働省 宮崎労働局|高所作業車作業計画書(様式・記入例)(Excel)

基本情報・人員配置

基本情報・人員配置では作業の責任の所在を明らかにするために作業の概要について記載します。

項目内容
工事名一般国道○○○号○○トンネル補修工事
作成者○○○○
作業内容トンネル壁面の洗浄工
(トンネル内部の壁面清掃をコンクリートはつり工が完了した時に行う)
人員配置作業指揮者: ○○○○
運転者: ○○○○
合図者: ○○○○
作業員人数: 7 名

機械能力・作業場所の状況

機械能力・作業場所の状況は、現場に対して機械を使っても問題ないかを判断するパートです。

機械のスペックとどんな作業場所で使用するのかについて記載します。

区分項目詳細・数値
高所作業車種類トラック式スーパーデッキ:○○○○(メーカー名)
機械能力最大作業床高:9.9m / 最大作業半径:7.6m
デッキ能力積載荷重:1000kg(※2t車クラス)
ブーム能力起伏角度:-17 ~ 78度(※3段ブーム)
作業場所広さ幅(W)2.6m × 長さ(L)76m
地形縦断勾配:3% / 横断勾配:1.5%
地質アスファルト舗装
高さ制限有り:7.2m
障害物照明灯、照明ケーブル
明るさ補助照明必要

運行・安全管理事項

運行・安全管理事項では、運転者の資格の有無と、現場でのコミュニケーション方法を定めます。

項目内容
運転者資格・○○○○(高所作業車運転技能講習:NO○○○○○)
・○○○○(高所作業車運転特別教育:NO○○○○○)
合図の方法手 ・ 旗 ・ 笛 ・ 無線 ・ その他(  )
備考
(安全指示等)
・原則として、運転席側を傾斜を下る方に向けて設置する。
・カラーコーン保安灯の点灯状態を全てチェックする。
・トンネル内は、10km/h以下を厳守する。
・注1:旋回場よりトンネル内へ前進で進入する。

安全遵守事項チェックリスト

現場で特に守るべきルールをリスト化し、チェックします。

チェック安全遵守事項
① 作業開始前に、安全装置等の動作確認をすること。
② 車体を水平に保つこと。
③ アウトリガーは、規制範囲内で最大に張り出すこと。
④ 上下作業を行わないこと。
⑤ リフターには必要な機材以外をのせないこと。
⑥ 作業指揮者・交通誘導員の指示に従うこと。
⑦ 資格証は原本を携帯させること。
⑧ リフター上で作業を行う時は、墜落制止用器具を着用すること。

配置図

「配置図」は、文字情報を補完し、現場の危険箇所を一目で理解させるための地図です。

以下の要素を必ず図示し、「どこが危険なのか」を誰が見ても分かるように描きます。

作業車の配置とアウトリガー

車両をどこに止め、アウトリガーをどの位置に張るか。

道路の幅に対し、通行止めにするのか、片側交互通行にするのか。

運行経路

搬入から設置位置までのルート。誘導員をどこに立たせるか。

危険箇所(障害物・架空線)

感電事故を防ぐため、ブームが旋回した際に接触する恐れのある電線の位置。

隣接する建物や、トンネル内の照明設備など。

立入禁止範囲

作業車の下や、工具落下のリスクがある範囲を囲い、カラーコーンやバーで区画する場所。

確認欄

作成した計画書の内容を関係作業員に周知したことを証明する欄です。

労働安全衛生規則 第194条の9 第3項「周知義務」の履行証拠となります。

現場代理人や職長だけでなく、実際に作業する人、運転手、交通誘導員など、この作業に関わる全ての人が、内容を理解した上で署名します。

まとめ

今回は、高所作業車作業計画書についてお伝えしました。

労働安全衛生規則に基づき、現場の状況や車両の能力を数値や図面で把握し、事故の起きない作業手順を確立するために作成するものです。

高所作業車作業計画書をしっかりと作成してリスクを可視化し、ソフト・ハード両面からの対策で、労働災害のない安全な現場を実現しましょう。

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