EHS監査とは?環境・安全衛生の統合監査を実施する目的・プロセスを解説

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「環境・健康・安全を包括的に評価するEHS監査」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。

「EHS監査」という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるかもしれません。

大企業や外資系企業を中心に実施されており、現場の安全管理体制が適切に機能しているかをチェックします。

この記事では、EHS監査がどのようなものか、そして高所作業でどのような安全対策が求められるのかを解説します。

目次

EHS監査とは

EHS監査は、組織の環境・健康・安全管理の状況を体系的に評価する活動です。

EHSはEnvironment(環境)、Health(健康)、Safety(安全)の頭文字を取ったもので、環境・健康・安全の3分野を統合的に管理する考え方を指します。

なぜEHSの統合管理が必要なのか

従来は、環境管理と労働安全衛生が別々の部門で管理されるケースが多くありました。

しかし実際の企業活動では、環境・健康・安全は密接に関連しています。

例えば、化学物質の取り扱いは環境汚染のリスクと同時に作業者の健康被害リスクも伴いますし、製造設備の故障は労働災害だけでなく環境への影響も引き起こす可能性があります。

つまり、環境・健康・安全を別々に管理するよりも、統合的なアプローチの方が効率的です。

重複する管理項目を一本化し、共通の手順やチェックリストを使えれば業務負担も軽減されることでしょう。

特にグローバル企業では、世界各地の拠点で統一された基準による管理が求められており、EHSの統合管理が標準的な手法となっています。

内部監査と外部監査

EHS監査には内部監査外部監査があります。

内部監査は、自社の担当者や別部門の社員が管理状況の確認と改善を目的とし、年間計画に基づいて定期的に実施されます。

実情を熟知した担当者が、現場の改善につながる具体的な指摘を行えることが強みです。

外部監査は、ISO 14001やISO 45001などの国際規格への適合性が第三者によって評価されます。

認証を取得することで、取引先や投資家に対して自社の管理体制が国際基準を満たしていることを証明できます。

EHS監査を受ける目的

第三者による客観的な評価

外部監査を受けると第三者の専門家による客観的な評価が得られます。

社内の監査だけでは見逃しがちな問題点や、慣習化して気づかなくなっている課題を外部の視点で指摘してもらえます。

国際規格への適合性の証明

ISO 14001やISO 45001などの認証審査として外部監査を受けることで、自社の管理体制が国際基準を満たしていることを証明できます。

法令遵守状況の確認

環境や安全衛生の法律は頻繁に改正されるため、現場の業務が忙しいと法改正への対応が後回しになりがちです。

外部監査で最新の法令要求事項への適合状況を確認してもらうことで、「知らないうちに法令違反になっていた」というリスクを防げます。

EHS監査の実施プロセス

外部監査を受けることになった際、どのように対応すればよいのでしょうか。

ここでは企業側の視点から、外部監査当日までの準備と当日の流れを解説します。

監査に向けた体制整備

外部監査機関から監査日程と対象範囲の連絡を受けたら、まず社内の準備体制を整えます。

文書・記録の整備

手順書やマニュアルが最新版に更新されているか、記録類が適切に保管されているかを確認します。

許可証や届出書類の有効期限、測定データの記録頻度なども漏れなくチェックしておきましょう。

現場の点検

監査当日に指摘を受けないよう、保護具の着用ルール、機械設備の安全装置、廃棄物の分別保管状態、化学物質の表示など、目に見える部分を確認しておきます。

従業員への周知

監査当日に質問を受ける可能性がある従業員に対して、対応方法を再確認してもらいます。

監査当日の対応

監査当日は、準備してきた内容を活かし、誠実かつ冷静に対応しましょう。

監査員の受け入れ

監査員が到着したらスケジュールを確認します。

施設内の安全ルールや注意事項も伝えておきましょう。

質疑応答

監査員からの質問には事実をもとに答えます。

曖昧な答えや推測での回答は避け、分からないことはその場で「確認して後ほど回答します」と伝えましょう。

現場確認

現場確認では、各エリアの責任者が同行します。

実施している安全対策や設備の状況を説明し、監査員からの質問には正確に答えます。

監査員が確認しやすいペースで進めることを意識しましょう。

指摘事項の記録

指摘事項はメモを取り、内容を正確に理解します。

曖昧な部分があればその場で確認し、後から「そういう意味ではなかった」という食い違いが起きないようにします。

まとめ

EHS監査は、環境・健康・安全の管理状況を第三者の視点で評価し、法令違反や重大事故を未然に防ぐための仕組みです。

外部監査を受ける際は、日頃から文書・記録の整備、現場の点検、従業員教育を徹底しておくことが大切です。

監査当日は誠実かつ正確に対応し、指摘事項があれば速やかに是正措置を講じましょう。

継続的な改善に取り組むことで安全な作業環境を実現できます。

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