
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「フォークリフトでの作業時の危険と安全対策」についてまとめてみました!
ぜひご参考にしていただければと思います。
フォークリフトを使った作業の一例

工場などで働いた経験のある方であれば、フォークリフトでどのような作業をするのかイメージがつきやすいかと思いますが、働いたことがない方やこれから働く予定の方など、現状でイメージがつきにくい方も少なくないのではないでしょうか。
フォークリフトで行う作業は、レバーを操作して荷物の乗ったパレットを引っ掛け、持ち上げて所定の位置に運び込むというシンプルなものです。
通常の作業は、工場や倉庫内にて重い荷物、大量の荷物をフォークリフトで持ち上げ、工場内を運転して決められた場所(トラックの荷台等)に運搬する役割を担い、荷物を運ぶトラック運送者と連携しながら作業を進めていきます。
力仕事というわけではないので、現在は女性の方も多く活躍しています。
ちなみに、一般的にフォークリフトは「小型特殊自動車」という区分に分類され、公道を走行するしないに関わらずナンバー登録が必要で軽自動車税もかかります。
公道を走行せず構内で作業を行う場合はフォークリフト運転技能講習の修了が必要で、公道を走行する場合は「小型特殊免許」もしくは「普通免許」「大型特殊免許」が必要です。
フォークリフトに関連する事故の実態
ここからは、フォークリフトに関連した事故の実態について項目ごとにまとめていきます。

事故発生状況
フォークリフトは意外にも労働災害が多く、厚労省の労働災害統計では毎年2,000件あまりの労災事故が起きています。
フォークリフトによる死亡事故も年間で30件近く起きておりますので、現状では無事故でいる職場でも常に危険と隣り合わせであるという認識を持たなくてはなりません。
また、荷役運搬機械による労働災害の内訳では1位がフォークリフトで70%、2位がクレーンで24.4%、3位がコンベヤーで5.6%となっており、フォークリフトの事故が占める割合が非常に大きくなっていることがおわかりいただけるかと思います。
多くの事業所ではフォークリフトによる作業の危険度を認識はしているものの、どちらかと言うと公道を走るトラックへの安全対策を重視している点もあり、なかなか場内で作業するフォークリフトへの安全対策が十分とはいえないこともあります。
しかし、たとえ人にケガがなかったとしても、フォークリフトでの事故は顧客の大事な商品を傷つけることにもなりえるため、会社の信用を失ってしまうという事にもなりかねません。
フォークリフトの事故件数を減らすには、事故の原因を知り、事業所での安全対策を十分行い、運転手や作業者に危険が及ばない工夫をしていく必要があると言えます。
よくある事故事例 4種
よくある事故の事例を大きく4つに分けてご紹介します。

①転落、および墜落事故
まず挙げられるのが、転落事故や墜落事故です。
フォークリフトでの作業中に、運転者の操作ミスが起き、高所から墜落するといった事例が多いようです。
また、本来であれば禁止されているフォークリフトの爪の部分に人を乗せて作業するという危険行為をし、フォークリフトの爪部分に乗った作業員が誤って転落するといった事故などが報告されています。
転落防止にはフルハーネスや転落防止システムが有効ですが、フォークリフトの利用シーンではフルハーネスの着用義務がなかったり、そもそも転落防止システムが設置されていないケースが多いようです。
備えがないからこそ、より一層危険を回避する=危ない作業はしないことが大切となります。
②作業員が巻き込まれる/挟まれる事故
毎日フォークリフトによる作業をすることで、周囲への安全確認を怠るようになった時や、いわゆる漫然運転のような状態での作業中も、危険な事故を招きやすくなります。
例えば、目の前にある荷物だけに気を取られ、近くに居た作業員を挟んでしまった事例などが多いです。
その他珍しい事故報告としては、フォークリフトのマストとヘッドガードの間に他の作業員の頭が挟まれたという事故が発生しています。
ちなみに、フォークリフトの死亡事故で最も多い事故原因は、安全確認不足によってフォークリフトに挟まれた、あるいは巻き込まれたという内容が多いです。作業をする方が常に安全確認を意識して取り組むことが大切です。
③フォークリフトの転倒事故
作業中にフォークリフトが横転することで、作業員が車外へ投げ出されるといった内容の事故も少なくありません。
投げ出されるとフォークリフトの下敷きになる危険性も高く、死亡事故にもつながります。 フォークリフトが転倒する要因としては、以下のことが挙げられます。
1.荷物の積み込み(または積み下ろし)の際に、まだ固定が外れていないにもかかわらず、トラックが動き出した
2.下り坂での運転中や方向転換時にスピードを出し過ぎていたため、バランスを崩した
3.荷物を高く持ち上げたまま坂道を移動していた
また、安全意識の低い作業員が遊び半分でフォークリフトのドリフト走行などをすることも、転倒に繋がる危険行為となります。
④フォークリフトにおける衝突事故
衝突事故としては、フォークリフトの走行経路に立ち入った他の作業員が轢かれてしまうケースや、フォークリフトの荷物が落ちないように支えていた作業員の上に、その荷物が落下するといったケースがあります。
その他、フォークリフトがきちんと整備されていないことも、事故発生の大きな要因となります。
事故が起きるの5つの原因
フォークリフトの事故を防ぐためにはまず原因を知ることが大切です。
考えられる原因として以下の5つが挙げられます。

①運転操作ミス
乗用車同様、運転操作を誤ることは主な事故原因の1つです。
ハンドル操作ミスやレバー操作の誤り、アクセルとブレーキの踏み違え、漫然運転による前方不注意などのほか、急な発進などは事故を引き起こします。
普段の自動車の運転と同じように正しい運転技術は、免許を取った後もずっと意識することが大切です。
②安全確認の怠り
フォークリフトの現場の講習では指さし確認をしますが、いざ現場での実践時にはおろそかにしがちなのが、安全確認です。
例えば前後左右の確認をせず走行することで、他者を巻き込む事故につながります。
また、シートベルトの着用をしないで走行することで、転倒時に投げ出される危険性も高くなります。
③パレットの危険な積み方
パレットの重量や数を考えず、作業の効率化ばかりを考えて許容量を超える詰み方をすることも、大きな事故の原因になり得ます。
例えば大きな荷物を一気に運ぶために、いくつもの荷物を一気に持ち上げた場合は、バランスを崩して、荷物が人を直撃するといった死亡事故にまで発展しかねません。
時間に追われる作業をすることもあるかもしれませんが、正しい手順と適切な量を守ることが安全に作業するための必須事項です。
④フォークリフトの点検や整備不足
メンテナンスや整備、点検をせず長期間放置すると、フォークリフトの故障の原因になるだけではありません。
荷役装置や走行装置が正しく作動しなくなる可能性が高くなります。
フォークリフトから普段は聞こえないような異音がする場合や、機体が悪臭を放つなど異常が見られる場合などは、安易に使用せず必ず修理に出すようにしましょう。
また、常日頃からの乗り方・メンテナンスもとても重要ですので、大切に扱うよう心がけましょう。
⑤フォークリフトの作業範囲が不明瞭
フォークリフトの作業範囲内に人が入ってくることも原因の一つとなります。
見通しが悪い場所や入り組んだ作業現場などにおいて、運転手以外に誘導者が居ないことなど、フォークリフトの作業内と人が立ち入る区域に明確な線引きをしていないことによって事故は起きます。
そのために、フォークリフトの作業範囲を明確に定めて分かりやすく表示をすることが必要です。
加えて周囲の人間も、それらのルールを守ることや事故防止の意識を共有することが大切です。
有効な安全対策は?

事故を防ぎ、安全に作業するためにも、基本的な安全対策は万全にしておく必要があります。
ここでは、有効な安全対策をご紹介します。
①フォークリフトと人の通路を分ける
通路をフォークリフトが走行する区域と人が立ち入る場所に分けて、接触を防ぐことが大切です。
ひと目で分かりやすいように、目立つ色のテープを貼るなど工夫をすれば経験の浅い人でも事故の危険が減少します。
②走行経路に他の作業員が侵入することを防ぐ
入り組んだ作業場や死角の多い場所での事故を防ぐため、近くに回転式の蛍光灯を設置するのも効果的です。
どこで作業をしているか分かるようにし、他の作業員が侵入しないよう働きかけましょう。
③指差し確認・呼称確認の徹底
免許を取る時のように、実践現場においても指差し確認や呼称確認を徹底しましょう。
「恥ずかしい・面倒くさい」という気持ちは事故への第一歩となります。
確認を徹底して行うことで、フォークリフトへ乗り込む前に、車体の異常を見つける機会を作る効果も期待できます。
④安全な乗り方・安全な荷物の積み方の徹底
安全な乗り方や荷物の積み方などは、一貫して守らなければなりません。
くれぐれも、作業目的以外にフォークリフトを使用しないこと、そして、「短時間なら大丈夫だろう」といった油断をしないことが大切です。
無理な荷物の積み方をしたり、エンジンをかけたままフォークリフトから離れたり、他の作業員を爪部分に乗せて積み下ろしをするなど、特に経験が豊富な作業者の何気ない行動が事故を招きます。
何年もフォークリフトに乗っているベテラン作業員であっても、事故を起こす可能性は低くありません。
⑤危険予知トレーニング
自動車の教習でも指導されることですが、危険予知は常にするように心がけましょう。
「ここでは人が来ないから安心」ではなく「急に人がくるかもしれない」。「このぐらいの軽さの荷物なら、固定しなくても大丈夫だろう」ではなく「軽い荷物でも、固定しないとバランスを崩すかも知れない」といった危険を意識した考え方は非常に大切です。
⑥ドライブレコーダーを採用する
事故の防止や、安全のための教育及び指導に役立つ、フォークリフト専用のドライブレコーダーを採用するのも、安全対策の1つです。
万が一事故が起こってしまった場合にも、明確な事故原因を究明しやすいといった機能もあります。
まとめ
今回はフォークリフトでの作業時の危険性や安全対策について、事故事例・原因・対処法をまとめてみました。
フォークリフトは、日常生活の周りでもよく見かける車両ですよね。
(余談ですが、筆者は葛飾区に住んでいるので自宅の周りでも町工場などが多く毎日2~3台のフォークリフトを見ます)
重たい荷物をスイスイ運べるとても便利な車両ですが、一方で大きな事故につながる可能性もある乗り物です。
日々の安全確認や安全への意識をしっかり持つことで、倉庫や工場などの現場で働くすべての人が安心して作業にあたれるよう、一人一人が意識し、しっかり安全対策をおこなっていきましょう!

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