労働事故に年齢は関係ある?ない?高所作業の年齢制限について

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「高所作業における年齢制限」について解説します!
ぜひご参考にしていただければと思います。


一般的な建設業界において、高所作業とされるのは2メートル以上の高さで作業をすることを言います。

もちろん、一般家屋の建設であれば、屋根仕事などであれば十分に注意が必要な高所作業ですし、ビルや鉄塔などは言うまでもなく危険な高所作業の種別です。

こういった高所作業には経験や技術が必要なため、職人さんの年齢などにも注目が集まりやすいものですが、実は高所作業の年齢制限は下限しか定められていないのが実情なのです。

目次

労働安全衛生法の定める高所作業の年齢制限とは?

18歳未満禁止
18歳未満禁止のマーク

2022年1月に義務化された特定の高所作業におけるフルハーネスの着用などを含めた労働者の安全を守るための法律の1つである労働安全衛法では、「高所作業に従事する年齢は18歳以上」だと定められています。

最近では高齢者の運転免許証などの返納問題などでニュースがざわつくこともありますが、実はこの法律において、年齢上限というものは定められていないのです。

実際の現場を見ると、一人親方さんなどであって、70歳を過ぎても現場で現役バリバリにお仕事をしていらっしゃる方は大勢いらっしゃいます。

健康診断などで特に問題がなかったとしても、やはり年齢に伴う体力的な衰えというのは人間である以上どうしても避けられないものです。

しかし一方で、事故の事例を見ると年齢にかかわらず、若い世代が事故に遭うケースも非常に多い実態があることも事実です。若い世代は経験が少ない分、経験豊富な作業者であれば当然近づかないような危険箇所や立入り制限区域などに、よく知らずに足を踏み入れてしまうこともあるのです。

高所での体の使い方はもちろん、感じる恐怖感なども地上とはまったく違うので、経験が未熟な若年者は、少しの判断ミスが命取りになりかねないとも言えます。

こういった実情を踏まえると、やはり現場単位、企業単位での安全対策は”年齢に関係なく”欠かせない存在であることが言えるのです。

若くて元気だから大丈夫!も大きな誤り。

若くて元気なサラリーマン

建設業界では、時折冗談交じりに、身体への負荷が大きい仕事をするときに「君は若いし元気だから大丈夫だよ!」なんて話が出ることがあります。

実際に、これが冗談や笑い話であれば問題として取り上げる必要はないかもしれません。

二重三重に、しっかりと安全に配慮されている現場環境であれば1つの笑い話として終えることができるからです。

しかし、これを本人の気持ちとは別に、上の立場の人間が押し通してしまえば「パワハラだ」と言われても仕方ありません。

若くて元気な人であっても、身体的、精神的に負荷の大きい高所作業のような業務は決して楽なものではありません

また、働きはじめて”少し慣れ始めたくらい”が油断も大きくなりやすく、事故に遭うリスクが高くなってしまうものです。

年齢によって大丈夫なのか、そうでないのか、といった判断をするのではなく、作業者の体調や技術・経験とともに、携わる業務の内容やスケジュールに対して適切な管理をしなければ、決して安易に「大丈夫だ」とは言えないのです。

高齢者へ配慮したい安全対策

敬礼する作業者
ヘルメットを触る作業者

職人さんの中には、その道一筋で来たからこそプライドを持ってお仕事をしている方も大勢いらっしゃいます。

しかし、前述の通り肉体的な衰えは人として自然な問題であることから、やはり配慮すべきは現場監督や現場責任を負う企業側であるということになります。

実際に、高齢者が働く作業現場ではどのような部分に特に配慮すべきか、一例をご紹介しましょう。

転倒災害への対策

高齢になると平衡感覚が低下するとされており、不意にバランスを取れなくなる可能性が高まります。また、筋力の低下も避けられません。作業中の転倒を防ぐためには、段差の解消や視覚的にハッキリと認識出来る滑り止め・手すりの設置や足場の安定性も重要になります。

特に高所作業の高さになれば、高齢者かどうかに関わらず命に関わる事故につながる可能性が高いことも視野に入れておく必要があります。

適度な休憩の確保

高所作業に限らず、適度な休憩を取って体力を回復させながら業務に取り組むことは誰にでも必要なことですが、特に高齢者の場合は、作業の負荷の具合によって一気に体力を使ってしまう可能性があるので注意が必要です。

例えば、足場の悪い、もしくはフルハーネスなどが必要な不安定な足場の場所であれば、バランスをとるために普段よりも足の筋肉を多く使用するわけですから、その分、体力の消耗も激しくなります。

大きな移動が作業者の負担になるようであれば、時間的、空間的な休憩間隔を取り入れる対策や、歩きやすくするための足場やキャットウォーク(歩廊)を設置するなどの対策が有効です。

まとめ:何よりも作業環境を整えることが安全対策になる

ヘルメット着用喚起の看板

実際の作業現場においては、若い作業員さんからベテランの職人さんまで様々な年齢層の方々が同じ時間に働くということは特に珍しい光景ではありません。

むしろ、同時に働いているからこそ、現場環境を分け隔てなく整えることがもっとも有効な安全対策であると言えるのです。

さらに言えば、少し手間はかかってしまいますが、年齢に応じて作業配分やスケジュール管理をするなど、個々人の適性に応じた働き方を提案することも1つの安全対策に繋がります。

経験が豊富かつ、スキルのある熟練の職人さんが高齢者である場合、どうしても重要なポイントはメインとして活躍してもらい、補助で若い人をつける・簡易な作業は若年者に任せて経験を積ませるなど、工夫次第では総合的なスキルアップと安全対策が同時に行えることもあるからです。

もちろん、全ての作業に対して、リスク全てを管理をするというのは現実的に難しいかもしれません。

であれば、事故リスクが高まる場面だけでも現場単位で管理することによって、なるべくリスクの低い工程が組み上げられるように考えてみてはいかがでしょうか?

今後ますます高齢化社会が進み、現場にもよりベテランが増えてくる時代。今一度、高齢者の職人さんへの配慮はもちろん、作業現場の安全対策全体を見直してみていただければと思います。

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