危険予知(KY)活動とは？高所作業において重要な安全対策の取り組み

高所作業は、墜落・転落による重大災害のリスクが高い作業です。

事故を防ぐためには、適切な安全装備の使用はもちろんのこと、作業前に潜在的な危険を予測し、対策を講じる「危険予知（KY）活動」が極めて重要です。

本記事では、危険予知の基本的な考え方から高所作業特有の危険予知ポイント、KY活動の進め方まで詳しく解説します。

危険予知（KY）活動とは

危険予知（KY）活動とは、職場や作業の状況の中に潜む危険要因を予知、予測することです。

または、危険予知の能力向上のための活動、訓練のことを指します。

以下に詳しく解説していきます。

危険を予知し災害を防ぐ

危険予知が重視されるのは、労働災害の多くが「不安全な状態」と「不安全な行動」の組み合わせによって発生しているからです。

裏を返せば、それぞれの要因を排除または低減することで災害のリスクを大きく下げることができます。

特に高所作業では、ひとたび事故が起これば重篤な災害につながる可能性が高くなります。

そのため、現場では危険予知活動（KY活動）を継続的に行うことが、安全確保に直結する重要な取り組みとなっています。

危険予知訓練（KYT）

KY活動の一環として行われるのが、危険予知訓練（KYT）です。

これは作業者の危険に対する感覚を養い、事故の予防につなげることを目的とした教育訓練です。

実際の事例や現場の状況をもとに、どこに危険が潜んでいるかを見極める力を養い、危険に対する意識を高めます。

安全教育の一環として定期的に実施され、作業者一人ひとりの危険予知スキルの向上に役立っています。

高所作業における主な危険要因

高所作業における危険要因を把握することは、KY活動の前提となります。

以下、主要な危険要因を解説します。

墜落・転落の危険

高所作業において、最も重大かつ頻度の高い事故が「墜落や転落」です。

足場の不備や安全帯の未着用、不安定な姿勢での作業などが主な原因となっています。

落下物による危険

高所作業におけるリスクは、作業者自身の墜落や転落だけではありません。

工具や資材の落下も、現場でよく見られる危険のひとつです。

特にボルトやナットのような小さな部品は落ちやすく、下にいる作業者に当たれば重大な事故につながるおそれがあります。

環境要因による危険

高所作業のリスクは、天候や周囲の環境にも大きく影響されます。

例えば、風が強い日の作業はバランスが崩れやすくなり、墜落や転落の原因となるおそれがあります。

さらに、風にあおられて工具や資材が落下する危険も高まります。

4ラウンド法によるKYT活動

KY活動（危険予知活動）では、代表的な進め方として「4ラウンド法（4R法）」が広く用いられています。

この方法は、危険の洗い出しから対策の実行までを段階的に整理し、作業チーム全体で安全意識を高めることを目的としています

以下の流れで行います。

【1ラウンド】現状把握

作業現場や作業内容を観察し、「どんな危険が潜んでいるか」をできるだけ多く挙げます。

例えば、「足場に手すりがないので転落の危険がある」といった具体的な表現で記述します。

【2ラウンド】本質追究

挙げられた危険要因の中から、特に重要と思われるものを選び出します。

最も危険性が高いものに◎印をつけ、メンバー全員で共有・認識を深めます。

【3ラウンド】対策樹立

選び出した危険ポイントに対して、「あなたならどう防ぐか」を考え、具体的な対策を話し合います。

実行可能で効果的な対策を複数挙げ、チームで検討します。

【4ラウンド】目標設定

検討した対策を元に、「私たちはこう行動する」というチームとしての安全目標を設定します。

最後に全員で指差し唱和を行い、安全意識を高め、実践への決意を共有して締めくくります。

まとめ

高所作業における危険予知(KY)は、墜落・転落という重大災害を防ぐための基本的な安全対策です。

KY活動を通じて作業に潜む危険を発見し、適切な対策を立てることで労働災害を未然に防ぐことができます。

一人ひとりが危険予知の重要性を理解し、労働災害ゼロを目指していきましょう。