安全靴の規格とは?JIS規格とJSAA規格をわかりやすく解説

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「安全靴」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。

安全靴は、作業中の危険から足を守ってくれる心強い味方です。

とはいえ、どんな安全靴でも同じように足を守れるわけではなく、選び方を誤るといざというときにけがにつながることもあります。

この記事では、安全靴の代表的な規格であるJISとJSAAを取り上げ、それぞれの特徴や現場に合った選び方までを解説します。

目次

JIS規格について

JIS(日本産業規格)は、産業標準化法に基づいて国が定める国家規格です。

安全靴については、つま先の保護を中心とした性能をJIS T8101が定めており、合格した靴だけが正式に「安全靴」と名乗れます。

作業区分による種類

JIS T8101の安全靴は、つま先にかかる衝撃や圧迫への強さによって4つの種類に分かれます。

区分ごとに、先芯が耐えるべき衝撃エネルギーと圧迫力の基準が次のように定められています。

作業区分衝撃エネルギー圧迫力
超重作業用(U種)200J以上15kN以上
重作業用(H種)100J以上15kN以上
普通作業用(S種)70J以上10kN以上
軽作業用(L種)30J以上4.5kN以上

衝撃エネルギーは落下物がつま先に当たったときの衝撃の大きさを、圧迫力はつま先がゆっくり押しつぶされる力に対する強さを表しています。

数値が大きい区分ほど、重い物の落下や強い圧迫に耐えられます。

最も基準の高い超重作業用(U種)は、2020年の改定で新たに加わった区分で、重量物を扱う現場の要求に応えるために設けられました。

国内で最も広く使われているのは普通作業用(S種)で、建設や運搬など一般的な現場の多くは普通作業用で必要な保護をまかなえます。

基本性能を確かめる試験

安全靴がJIS T8101に合格するには、3つの基本性能を満たす必要があります。

一つ目は耐衝撃性で、20kgのくさび形ストライカを指定された高さから落とし、先芯と中底の隙間が規定値を下回らないかを調べます。

二つ目は耐圧迫性で、先芯に圧迫力を加えたときの強度を測ります。

三つ目は表底のはく離抵抗で、甲被と靴底が剥がれずに保つ強度を確認します。

はく離抵抗は超重作業用から普通作業用までが300N以上、軽作業用が250N以上と定められています。

はく離抵抗の試験は革製を対象とし、総ゴム製の場合は代わりに水が染み込まないかを見る漏れ防止性の試験が課されます。

付加的性能

基本性能に加えて、作業環境に応じた付加的性能を備えた安全靴もあります。

釘の踏み抜きを防ぐ耐踏抜き性(P)、かかとへの衝撃をやわらげるかかと部の衝撃エネルギー吸収性(E)、足の甲を落下物から守る足甲プロテクタの耐衝撃性(M)、滑りにくさを示す耐滑性(F)などが代表例です。

ほかにも表底の耐燃料油性(BO)や甲被の耐燃料油性(UO)、高温の床に触れても耐える表底の耐高熱接触性(H)といった項目があります。

JSAA規格について

JSAA規格は、公益社団法人日本保安用品協会が定める作業靴の認定制度です。

認定を受けた靴は「プロテクティブスニーカー」、通称プロスニーカーと呼ばれます。

JIS規格の安全靴と比べ、人工皮革を使った軽量な製品が多く、デザインの自由度が高い点が特徴です。

【A種】普通作業用

A種は、JSAA規格のなかで普通作業用に位置づけられる区分です。

つま先を守る耐衝撃性、押しつぶしに耐える耐圧迫性、靴底が剥がれにくい表底のはく離抵抗について、JIS T8101のS種と同じ試験方法で基準を満たした製品に与えられます。

JIS安全靴のS種に相当すると言われ、貨物運送や運搬、一般的な事務や清掃といった普通作業の現場で幅広く使われています。

軽量で動きやすい一方、甲被に人工皮革を用いる製品が多く、JIS安全靴ほどの耐久性は備えていない場合があります。

【B種】軽作業用

B種は、JSAA規格のなかで軽作業用に位置づけられる区分です。

耐衝撃性や耐圧迫性などの試験は、JIS T8101のL種と同じ方法で行われ、基準を満たした製品が認定されます。

JIS安全靴のL種に相当し、軽い荷物を扱う作業や、足元の危険が比較的少ない良好な環境での作業に向いています。

A種よりも保護性能の基準はゆるやかなため、重量物の落下や強い圧迫が想定される現場には適しません。

履き心地の良さや軽さを重視しつつ、最低限のつま先保護を確保したい軽作業に選ばれます。

安全靴規格の見分け方

安全靴の規格はどうやって見分けることができるのでしょうか。

ここではJIS規格とJSAA規格の見分け方をお伝えします。

JIS合格品の確認方法

JIS合格品には、靴底や中敷きにJISマークとJIS認定番号が表示されています。

商品の箱やタグに「JIS T8101 革製S種(普通作業用)合格品」のような記載があり、材料区分や作業区分、付加的性能を読み取れます。

例えば「JIS T8101 革製 S種 E」と書かれていれば、JIS T8101の安全靴に合格し、甲被は革製、普通作業用で、かかと部の衝撃エネルギー吸収性(E)に優れた靴だと分かります。

JSAA認定品の確認方法

JSAA認定品は、靴のベロ裏に型式認定合格マークと種別が記されています。

黄色の型式認定合格品タグが付けられ、A種かB種かを確認できます。

商品の箱には、プロテクティブスニーカーのマークや「JSAA A種 合格認定」といった記載があります。

先芯入りのスニーカーであっても、認定マークやタグがなければJSAAの認定を受けていない製品の可能性があります。

作業に合った安全靴の選び方

ここからは、どのようにして安全靴を選ぶべきかをお伝えします。

重量物を扱うかどうか

重い資材や工具を扱う建設現場や重量物の運搬では、保護性能の高い重作業用(H種)や超重作業用(U種)が安心です。

組立や検品のように足元の危険が小さい軽作業なら、普通作業用(S種)や軽作業用(L種)、あるいはJSAA認定品でも対応できます。

等級が高いほど先芯は頑丈になりますが、重くなりやすい傾向もあるため、保護性能と動きやすさのバランスを考えて選びます。

静電気を防ぐ必要があるかどうか

つま先の保護とは別に、静電気への対策が必要な現場もあります。

可燃性の気体を扱うガソリンスタンドや、静電気に弱い電子部品を扱う工場では、JIS T8101の安全靴とは別系統のJIS T8103に対応した静電気帯電防止靴が求められます。

帯電防止靴は電気抵抗値によって一般静電靴、特殊静電靴、導電靴に分かれ、職場の環境に応じて選びます。

会社からの規格指定があるかどうか

労働安全衛生法や労働安全衛生規則では、作業内容に応じて安全靴の着用が義務づけられる場合があります。

会社から「安全靴の着用」を指示されたときは、正式にはJIS合格品を指すことが多く、JSAA認定品では要件を満たさない可能性があります。

指定された規格や等級があるなら、購入前に勤務先へ確認しておくと間違いがありません。

まとめ

安全靴の規格は、国が定めるJISと、業界団体が認定するJSAAの2系統に分かれます。

JSAA認定のプロテクティブスニーカーも一般には安全靴と呼ばれますが、正式な安全靴はJIS T8101の合格品です。

どちらにせよもしものときに足を守れるよう、靴に付いたJISマークや認定タグで規格を確かめ、自分の作業に合った種類を選びましょう。

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