フルハーネスの特別教育を受講しないと事業者はどうなる?

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では最近質問の多い「フルハーネスの特別教育」についてざっくりとまとめてみました!
ぜひご参考にしていただければと思います。

フルハーネス型墜落制止用器具(安全帯)、いわゆるフルハーネスの着用義務化が2022年1月に開始してから、フルハーネスを着用の義務化はもちろん、着用して作業に従事する作業員が「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」を受講することも同時に義務化されました。

2022年1月を境目に、従来までの旧企画は使用が出来なくなり、新規格のフルハーネス型安全帯と胴ベルト型安全帯のみが認められる形になったからです。

フルハーネスを導入する事業者は多くなったものの、特別講習が必要であることは完全に周知されているとは言えず、弊社にも多くの質問や相談をいただいております。

「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」とは?

「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」とは、高所作業で墜落事故防止ための器具を正しく安全に使用するための安全衛生教育の1つです。

安全衛生教育は、建設現場等において様々な危険などが伴う作業や業務に応じて、特定の知識を得るために必須とされている受講項目となっており、代表的なものであれば「チェーンソー」の使用者や「玉掛け技能講習」などが挙げられます。

2022年1月からの高所作業におけるフルハーネス型安全帯の着用義務化に伴う変更点には、作業に従事する作業員が、フルハーネス特別教育を終了している必要があります。

受講時間について

安全衛生教育には様々な科目がありますが、フルハーネスにおける特別教育では学科による講習が4.5時間、実技による講習が1.5時間と定められています。

特別教育の内容の図

ただし、これまでにフルハーネスの使用経験が6ヶ月以上あるなど、特定の条件を満たしている作業員の場合には一部の講習を省略できる制度も設けられています。

また条件を満たしている場合には、学科科目Ⅳ(関係法令)のみの最短30分の講習会で資格を得ることも可能です。

受講の省略条件

  • 高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型を用いて行う作業に6月以上従事した経験のある方(学科科目Ⅰ、Ⅱ、Ⅴを省略可)
  • 上記①と同様の場所において、胴ベルト型を用いて行う作業に6月以上従事した経験のある方(学科科目Ⅰを省略可)
  • ロープ高所作業特別教育受講者、または足場の組立て等特別教育受講者(学科科目Ⅲを省略可)

出典:安全帯が「墜落制止用器具」に変わります!PDF資料3ページより

「慣れているから」で無資格者に作業をさせた場合には罰則あり

今回の法改正にともなって、今までは任意での着用であったフルハーネスが義務化されたことに伴い、安全衛生教育終了者でなければ、フルハーネス型安全帯を着用しての作業をさせてはいけない、という条件も同時に発生します。

6時間の講習会に比べれば、現場で数年間フルハーネス型安全帯を使用している方の方が実務レベルも高いことは容易に予測はできますが、法令として遵守すべき部分として制定されたため、いくら現場経験が長いベテラン作業者であろうと、これに違反した場合には罰則規定があります。

特別教育を受講しなかった場合の罰則規定

無資格の作業者に就業させた場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

単純な罰金だけではなく、悪質な場合には懲役等も考えられる犯罪となりますので、事業者の方々においては、フルハーネスを着用して作業を行う作業員には、必ずフルハーネスの特別講習を修了させておく必要があります。

胴ベルト型安全帯との区分けについて

胴ベルトと工具

新規格の製品であれば、高さ5メートル以下の作業では胴ベルト型安全帯の使用も認められています。

また、胴ベルト型安全帯には特別講習が設けられていないため、事業者としては全員に受けてもらうかどうか、という点でお悩みになるかもしれません。

しかし、現状では5メートル以下でしか作業をしていない、という作業員の方々であっても、今後6.75メートル以上の高さでの高所作業をする可能性がある、という場合には事業所単位で講習を受けておくことをおすすめします。

万が一の欠員などに際しても、無資格者がフルハーネスが義務化された高さで作業に従事することは法令違反となるからです。

特別講習がすべてではない

フルハーネス義務化に該当する作業においては特別講習を修了していることも作業に従事する条件の1つですが、全く高所作業の経験のない作業員がいきなりフルハーネスを着用して作業にあたるということは安全配慮としては不十分だと言えます。

事業所において「フルハーネス義務化」という制約が該当する、という場合には経験の少ない作業員への教育も兼ねて積極的にベテランの作業員と一緒に、現場単位での安全対策を確認する必要があると言えるでしょう。

「特別教育が修了しているから」という理由だけでは、現実的に作業事故や労働災害防止に繋がるというわけではありません。車で言えば、まだ免許証をとったばかりで走行経験がない、という状態に等しいわけですから、特別教育の修了=安全対策の出来た作業環境の構築には必ずしも繋がらないことを今一度認識しておきましょう。

まとめ:本来の義務は安全確保にある

いかがでしたでしょうか?

安全教育はあくまで事故を未然に防ぐための知識を習得する場に過ぎません。

本当に作業場での事故をなくそうと思うのであれば、安全教育を受講するのはゴールではなくむしろスタートラインに立つことでしかなく、そこからどうやって実地的な経験を積んで、安全対策の意識をしっかりと体と意識に植え込むかが非常に大切です。

法改正によって明確にフルハーネス型安全帯が義務化されたことで、「むしろ事業者として本質的な義務や意識を見落としがちになりやすい環境になった」という見方もできるのかもしれません。

本来、この法改正によって求められるものは、「作業従事者の安全性の確保」であり、「特別教育を受けること」ではありません。

特別教育修了後は資格がある状態ですが、個々の作業員の経験などに応じて、事業者は実際の業務にあたっての教育も同時に行うべきなのです。

労働災害を少しでも減らすため、「義務化」という言葉だけに囚われず、柔軟にご配慮頂き、今一度現場の安心・安全に目を向けていただけますと幸いです。

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