特殊勤務手当とは?高所作業を例に該当する作業と手当の金額を紹介

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「特殊勤務手当」について、高所作業を例にご紹介します!
安全対策・安全衛生の豆知識として、ぜひご参考にしていただければと思います。

特殊勤務手当とは、どのような手当なのかご存じでしょうか。

高所作業など、リスクの高い作業を多く扱う企業を経営している方にとっては、知っておいて損のない手当のひとつです。

この記事では、特殊勤務手当についてできるだけわかりやすく解説します。

高所作業を例に取り上げながら、該当する作業内容や手当の金額についても紹介しますので、参考にしてみてください。

目次

特殊勤務手当とは

手当のイメージ

特殊勤務手当は、人事院規則によって定められた制度で日本の特定の公務員に支給される手当です。

危険を伴う作業や健康リスクがある作業、心身への負担が大きい作業などに従事した場合、一日ごとに一定額が支給されます。

特殊勤務手当一覧

特殊勤務は「人事院規則九―三〇」に定義されていて、高所作業や放射線作業、夜間作業などの27種類があります。

危険作業関連の手当

手当の種類作業内容例
高所作業手当地上又は水面上10メートル以上での作業
坑内作業手当トンネルでの掘削・整備作業
爆発物取扱等作業手当爆発物や有害物質の処理
有害物取扱手当有害性ガスなどを用いる殺虫処理
放射線取扱手当エックス線の照射による検査
異常圧力内作業手当潜水作業

医療・防疫・衛生関連の手当

手当の種類作業内容例
防疫等作業手当感染症患者の対応や部屋の消毒作業
夜間看護等手当深夜の救急医療対応
死体処理手当死体の収容や検視

航空・通信・観測に関する手当

手当の種類作業内容例
航空手当航空機の操縦や検査
航空管制手当航空交通の管理管制業務
移動通信等作業手当避難救助でトランシーバーにより連絡を取る作業
極地観測等手当南極地域観測に関する業務

夜間・特殊時間帯の手当

手当の種類作業内容例
夜間特殊業務手当深夜に実施する道路修繕作業
夜間看護等手当深夜の救急医療対応

災害・緊急対応に関する手当

手当の種類作業内容例
災害応急作業等手当災害時の巡回監視や応急作業
国際緊急援助等手当国外での災害救助活動

公共・刑務業務関連の手当

手当の種類作業内容例
用地交渉等手当公共事業用地の取得と交渉
鑑識作業手当指紋の鑑識による犯罪捜査
犯則取締等手当麻薬所持の疑いのある人の居宅の調査
刑務作業監督等手当刑務所での週用品の監督
死刑執行手当死刑執行の作業や補助

特定地域・環境での業務手当

手当の種類作業内容例
水上等作業手当船舶での救急救命処置
山上等作業手当山上の無線中継所における保守作業
小笠原業務手当小笠原諸島での業務

道路・公共空間作業の手当

手当の種類作業内容例
道路上作業手当道路の補修作業

護衛・警備に関する手当

手当の種類作業内容例
護衛等手当天皇の護衛

高所作業における特殊勤務手当の例

アクロバット水平型ワイヤータイプ

ここで特殊勤務手当が人事院規則でどのように定められているのか、高所作業を例にしてお伝えします。

高所作業については、第一号から第六号までの区分が設けられており、対象となる職員、作業内容、支給される手当の金額がそれぞれ個別に定められています。

対象職員作業手当
警察庁空中線柱の地上10メートル以上の場所で作業に従事220円
(地上又は水面上20メートル以上の場合には320円)
厚生労働省
都道府県労働局
揚重機の地上10メートル以上の場所で落成検査又は変更検査を実施
地上又は水面上10メートル以上の足場の不安定な場所でおこなう高層建築物・ダム・橋梁などの工事現場又は造船現場で監督を実施
220円
(地上又は水面上20メートル以上の場合には320円)
内閣府沖縄総合事務局
農林水産省地方農政局
林野庁森林管理局
国土交通省地方整備局
北海道開発局
地上又は水面上10メートル以上の足場の不安定な場所でダム・橋梁・水門・機場などの建設又は改修の作業に従事220円
(地上又は水面上20メートル以上の場合には320円)
内閣府沖縄総合事務局
国土交通省地方整備局
北海道開発局
地上又は水面上10メートル以上の足場の不安定な箇所でかん塊製造作業または港湾工事用の鋼矢板・鋼管・基礎杭の打込作業に従事220円
(地上又は水面上20メートル以上の場合には320円)
内閣府沖縄総合事務局
財務省財務局
文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部
林野庁森林管理局
国土交通省大臣官房官庁営繕部
地方整備局
北海道開発局
地上15メートル以上の足場の不安定な場所で営繕工事の監督を実施 200円
(地上又は水面上30メートル以上の場合には300円)
※人事院が高所作業として認める場合
手当:上限370円
(地上又は水面上30メートル以上の場合には上限520円)

上記の手当は日額です。

高所作業は命に関わる作業ですので、その手当が1日あたり200円程度と考えると「ちょっと安すぎるのでは?」と感じるのは私だけでしょうか。

ちなみに、助産師、看護師または准看護師の夜間看護等の手当は2,150円~7,300円。

ちょっと変わったところでは、死刑執行手当で1回あたり20,000円など細かく定められています。

また、聞き慣れないところでは、死体の収容等が1,000円、検視が1,600円となっています。

この金額が高いのか安いのかは別として、誰かがどこかでしてくれている仕事(もちろん自分自身もですが…!)によって社会が支えられているんだなと、この人事院規則九―三〇(特殊勤務手当)を見て改めて思いました。

企業における特殊勤務手当

東京上空とスカイツリー

特殊勤務手当は公務員に支給される手当であり、企業には人事院規則に従って支給する義務はありません。

しかし、民間企業であっても、就業規則などで独自に特殊勤務手当の制度を設けているケースは少なくありません。

危険を伴う作業に従事した従業員に対して手当を支給することは、従業員のモチベーション向上につながるからです。

該当する作業や支給金額は企業側で自由に設定できるため、事業への貢献度が高い業務に対してより高い手当を支給することも可能です。

その結果、従業員が手当の大きな仕事に専門的に取り組もうと考え、自発的に技術の習得に励むことが期待できます。

危険を伴う作業を主力とする企業では、特殊勤務手当の導入や見直しによって従業員の意欲を高める施策として活用していくとよいでしょう。

まとめ

特殊勤務手当は、公務員が危険を伴う作業や心身に大きな負担がかかる業務に従事した際に支給される手当です。

企業においても、体力的・精神的なストレスを伴う作業に従事する従業員に対し、独自に特殊勤務手当を支給する制度を設けることは有効です。

安全対策とあわせて手当を支給することで従業員のモチベーション向上につながり、より前向きに業務へ取り組む姿勢を促す効果が期待できます。

コストのイメージ

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