スレート屋根で起こる踏み抜き事故とは|原因から墜落防止策まで

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「スレート屋根での踏み抜き事故」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。

工場や倉庫の屋根改修工事などで発生する恐ろしい労働災害の一つに、踏み抜き事故があります。

平成25年に建設業で発生した屋根からの墜落死亡災害では屋根からの墜落とスレート等の踏み抜きを合わせて43人。

この数字は建設業の墜落死亡災害全体の約27%を占めており、業界全体で対策が求められている問題です。

今回は、屋根の踏み抜き事故について解説します。

目次

スレート屋根の踏み抜き事故が起こる原因

スレート屋根の踏み抜き事故が起こる最大の原因は、屋根材の経年劣化による強度低下です。

スレートはセメントと繊維を主成分とした屋根材であり、施工直後は十分な強度を持っています。

しかし、雨風や紫外線にさらされ続けることで強度が徐々に低下していきます。

新品の波形スレートは400kg以上の荷重に耐えられるのに対し、30年程度経過した波形スレートの強度は約182kgと新品の半分以下まで低下することが確認されています。

参考:アステックペイント|【工場・倉庫の改修工事】波形スレート屋根工事の危険性と安全対策を解説!

工場や倉庫の屋根には築30年以上経過しているものも珍しくなく、老朽化した屋根材が現場に数多く残っています。

苔や藻の繁殖、微細なひび割れ、表面の白化などは劣化が進んだサインです。

しかし、目視では健全に見えても内部の強度を大きく損なっている可能性もあり、健全に見える箇所を踏んでも踏み抜きが起こってしまいます。

スレート屋根の踏み抜きを防ぐ対策

幅30cm以上の歩み板の設置

歩み板の設置は、労働安全衛生規則第524条で規定されている対策です。

スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行う際、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは幅が30㎝以上の歩み板を設けることが求められています。

歩み板は、人が渡って歩くために物と物との間に架け渡す板のことです。

屋根材の下地となる母屋の上に設置し、荷重を脆くなったスレート面ではなく下地の骨組み部分に伝えます。

歩み板を設置することで荷重が広範囲に分散され、屋根材への一点集中を回避できます。

作業員の移動範囲に応じて歩み板を継ぎ足していけるように、屋根の端から端までカバーできる本数を用意することが実務上のポイントです。

防網の設置

防網の設置も労働安全衛生規則第524条で挙げられている対策の一つです。

防網は屋根の下側に張るネットのことで、作業員が屋根を踏み抜いた場合に落下を受け止める役割を果たします。

歩み板が踏み抜きそのものを起こさないための対策であるのに対し、防網は踏み抜きが起きた際の墜落を受け止める対策です。

墜落制止用器具の使用

歩み板や防網といった屋根側の対策を講じても、踏み抜き自体を完全に防げるとは限りません。

高さ2m以上の箇所で作業床を設けることが困難な場合、事業者は作業員に墜落制止用器具を使用させなければならないと法令で定められています。

ハーネスに接続されたロープが踏み抜きによって屋根から落下した際の身体を吊り下げ、地面までの落下を食い止める仕組みになっており、着用していれば踏み抜いた場合でも地面まで落ちずに済みます。

親綱の設置

親綱は、墜落制止用器具のフックを掛ける取付設備として屋根上に張り渡されるロープです。

作業員が屋根の上を移動する際、墜落制止用器具のフックを親綱に掛けながら移動することで常に命綱が確保された状態を保てます。

親綱を張るためには、屋根の両端に堅固な支持点が必要です。

工場や倉庫の屋根では、柱や梁を利用して支持点を確保し、親綱にかかる墜落荷重を安全に支えられる強度を持つ場所を選定します。

複数の作業員が同時に屋根上で作業する場合は、人数分の親綱を独立して設置するのが基本です。

1本の親綱を共有せずに分けて設置することで作業員の安全を独立して確保できます。

屋根上に常設の通路を設けられる現場では、キャットウォークの設置も効果的です。

まとめ

屋根の踏み抜き事故は、経年劣化した屋根材を踏むことで発生する労働災害です。

スレート屋根での作業に関する対策は、事業者に対する法的義務としても定められており、義務違反は罰則の対象になり得ます。

過去には労働安全衛生規則第524条の踏み抜きによる危険を防止する措置を講じていなかった疑いで、事業者と現場責任者が労働安全衛生法違反の疑いで書類送検された事例が公表されています。

事業者としては何よりも従業員の安全を守るために、屋根作業に従事させる際は安全対策を怠らないようにしましょう。

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