
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「丸太足場」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。
解体工事の現場などで、金属ではなく木で組まれた足場を見かけたことはありませんか。
それは「丸太足場」と呼ばれる足場です。
現在では、単管足場や枠組足場が主流となり、あまり見られることがなくなりました。
なぜ丸太足場は使われなくなったのでしょうか。
この記事では、丸太足場の特徴や使用シーン、安全面について詳しく解説します。
丸太足場とは?

丸太足場は、木材を使って組み立てる伝統的な足場です。
杉やひのきなどの丸太を、番線(太い針金)で緊結して組み上げます。
丸太足場は、かつては住宅建築や中小規模工事の現場で広く使用されていましたが、昭和中期以降、金属製の足場が普及したことにより次第に使用されなくなっていきました。
現在では、主に以下のような現場で使われています。
- 2階建て程度の比較的低層の解体工事現場
- 文化財など伝統建築物の修復工事

丸太足場のメリット

ここで丸太足場のメリットを紹介します。
柔軟に現場対応できる
丸太足場は、現場に応じて柔軟に対応できます。
必要に応じてその場で切断や加工ができるため、単管足場や枠組足場のように寸法が規格化された資材とは異なり、現場ごとに最適な形で組み立てることが可能です。
また、足元が不安定な場所や重機の搬入が難しい現場では、規格品の足場では対応が難しくなることがあります。
こうした条件下でも、丸太足場であれば資材を現場に合わせて調整しながら設置することが可能です。
建物にやさしい
丸太足場は木材を使用しているため、金属製の足場に比べて建物へのダメージが少なくて済みます。
設置作業中に足場材が建物に接触しても、木材は金属よりも柔らかいため、外壁や建材に傷を付けにくいという特徴があります。
特に、表面の保護が重要となる文化財や歴史的建築物の修繕工事では、丸太足場が有効な足場とされています。
丸太足場のデメリット

丸太足場には注意すべき点もあります。
特に大きなリスクとなるのが、雨天時の滑りやすさです。
木材の表面が湿気を含むことで足元が不安定になり、転倒や墜落の危険性が高まります。
また、木材は経年劣化や気候条件によって腐食が進みやすく、外見だけでは内部の強度低下に気づきにくい場合もあります。
そして丸太足場は規格化された資材ではないため、設計や施工の精度が現場ごとの判断や経験に大きく左右されます。
事故を防ぐために、高い安全意識と確実な技術力が求められます。
丸太足場に関する法規制

労働安全衛生規則 第569条(丸太足場)では、「丸太足場を使う場合に必ず守らなければならない技術基準」が細かく定められています。
項目 | 内容 |
---|---|
支柱の間隔と布の位置 |
・支柱(建地)の間隔は2.5メートル以下 ・地上第一の水平材(布)は地上3メートル以下に設置 |
支柱の脚部の措置 |
・滑動や沈下を防止するための対策を講じる ・支柱の根本を埋める ・根がらみを設ける ・皿板を使用する、またはその他適切な措置を取る |
支柱の継ぎ方 |
【重ね継ぎ】 ・継ぎ目で1メートル以上重ね、2か所以上縛る 【突き合わせ継ぎ】 ・2本組にする、または1.8メートル以上の添え木で4か所以上縛る |
接続部・交差部の固定 | 建地・布・腕木の接続部や交差部は、鉄線など丈夫な材料で堅固に縛る |
筋かいの設置 | 足場の強度を確保するため、筋かい(斜材)を必ず設置する |
壁つなぎ・控えの設置 |
・垂直方向の間隔:5.5メートル以下 ・水平方向の間隔:7.5メートル以下 ・使用材料:鋼管、丸太など強度に優れたもの ・引張材と圧縮材の間隔は1メートル以内 |
まとめ
丸太足場は現在の建設現場で主流ではないものの、地形への対応力や柔軟な設計が可能な点から特定の環境下で有効に活用されています。
ただ、安全管理の難しさや施工の手間、資材状態の見極めといった注意点も多く、管理が不十分な場合には重大な事故につながるおそれがあります。
丸太足場を用いる際には、リスクを正しく理解した上で現場の条件に応じた安全対策を徹底することが不可欠です。

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