ロープ高所作業特別教育とは?概要や受講の流れを解説

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「ロープ高所作業特別教育」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。

ロープ高所作業特別教育とは、高所でロープを使った作業を安全に行うために必要な特別教育です。

建設業や清掃作業などの職種で求められることが多いでしょう。

本記事ではロープ高所作業特別教育の概要や、受講が必要となる具体的なシーンについて詳しく解説します。

高所作業に従事する方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

ロープ高所作業とは?

ロープ高所作業とは、高さ2メートル以上の作業床を設けることが困難な箇所において昇降器具を用い、身体を保持しながら行う作業のことです。

ビルの上からロープで下降しながら作業する窓清掃は、ロープ高所作業の代表例です。

その他、以下のような作業にも用いられます。

  • 建設現場での高所作業
  • 橋梁やダムの点検・補修
  • 樹木の剪定や伐採作業
  • 送電線や鉄塔のメンテナンス

建設現場での高所作業

建設現場では高所作業が必要となる場面が多くありますが、足場の設置が困難な場合や、施主の要望で足場を設置できないケースなどでロープ高所作業が行われます。

橋梁やダムの点検・補修

橋梁やダムのメンテナンスでは、高所かつ水辺の近くで作業を行うことになります。

このような作業環境では、吊足場や点検車を設置するためのスペースが取れないことが多いため、ロープを使用した高所作業が必要になります。

樹木の剪定や伐採作業

公園や街路樹の管理において、樹木の剪定や伐採を行う際にロープ高所作業が用いられることがあります。

例えば、高所作業車が入れない場所や狭小地、複雑な形状の場所、周辺環境への影響を抑える必要があるケースなどです。

送電線や鉄塔のメンテナンス

電力会社や通信会社の業務に、送電線や鉄塔の点検・補修作業があります。

高所作業車が入れない場所や、はしごでは届かない高さでの作業などではロープ高所作業が必要になります。

足場を組まずにロープを使って作業する技術に「ロープアクセス」があります。

日本では、2016年に労働安全衛生規則においてロープ高所作業として正式に定められました。

ロープアクセスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

ロープ高所作業特別教育について

ロープ高所作業特別教育とは労働安全衛生法に基づき、ロープ高所作業に従事するときに受講しなければならない特別教育のことです。

ロープ高所作業での墜落事故は、ロープの外れやほどけ、切断といったロープの問題が原因となるケースが多くありました。

こうした事故を防ぐため、厚生労働省は2016年に労働安全衛生規則を改正し、ロープ高所作業を行う際の安全基準を新たに定めました。

ロープ高所作業特別教育のカリキュラム

ロープ高所作業特別教育は、学科と実技の2つのカリキュラムで構成されています。

それぞれの内容を見てみましょう。

学科

学科では、高所作業に関する基礎知識を学びます。

具体的な科目と受講時間は以下です。

科目時間
ロープ高所作業に関する知識1時間
メインロープ等に関する知識1時間
労働災害の防止に関する知識1時間
関係法令1時間

実技

実技では、実際にロープを使用して安全に作業を行うための技術を習得します。

具体的な内容は以下です。

内容時間
ロープ高所作業の方法2時間
メインロープ等の点検1時間

ロープ高所作業特別教育の受講方法

ロープ高所作業特別教育を受講するときには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

ここでは、受講に必要な情報を要点をまとめて解説します。

受講資格

ロープ高所作業特別教育の受講には、年齢制限や特別な資格は必要ありません。

18歳未満の方も受講できますが、実際のロープ高所作業には従事できません。

これは、労働基準法第62条に基づく「危険有害業務の就業制限」によるものです。

多くの企業では業務の一環として受講を義務付けています。

受講費用

受講費用は、実施機関や講習の内容によって異なりますが、テキスト代等を含めて15,000円前後が相場です。

代表的な実施機関の料金は以下です。

建設業労働災害防止協会 群馬支部13,750円(税込)
キャタピラー九州14,000円(税込)
東京技能講習協会17,000円(税込)

有効期限

ロープ高所作業特別教育に有効期限はありません。

しかしながら、安全に作業を続けるためには、定期的に知識や技術の更新が重要です。

法的な義務はありませんが、技術の維持や最新の安全基準を学ぶために、復習や再講習の受講が推奨されています。

まとめ

ロープ高所作業特別教育は、ロープを使用した高所作業を安全に行うために必要な特別教育です。

2016年の労働安全衛生規則の改正により、ロープ高所作業に従事する労働者への特別教育が義務化されました。

受講を検討している方は、適切な講習を受け、安全な作業環境を確保しましょう。

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