転倒災害の事例から考える職場の対策

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「転倒災害」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。

転倒災害は労働災害のなかで最も多い事故の型です。

どの職場にも起こりうる災害だからこそ、未然に防ぐための取り組みが欠かせません。

この記事では、転倒災害の事例と職場で講じられる対策を解説します。

目次

転倒災害の発生状況

転倒災害がどれくらい起きているのかは、厚生労働省が公表している統計から確認できます。

令和6年の労働災害発生状況によると、休業4日以上の死傷者数は135,718人で、4年連続の増加となりました。

事故の型別に見ると、最も多いのが転倒の36,378人です。

腰痛等の動作の反動・無理な動作が22,218人、墜落・転落が20,699人と続いており、転倒はこれらを大きく上回っています。

第14次労働災害防止計画では転倒による平均休業見込日数を令和9年までに40日以下とする目標が掲げられていますが、令和6年の実績は47.5日でした。

年齢による差も大きく、休業4日以上の死傷災害の年千人率は全体で2.35であるのに対し、60歳代以上では4.00となっています。

転倒災害はどのようにして起こるか

転倒災害の典型的なパターンは、滑り、つまずき、踏み外しの3つです。

いずれも小さな原因が大きな災害につながっています。

滑りによる転倒

床面が濡れている状態は、滑りを引き起こす代表的な要因です。

厨房や食品加工の現場で水を使った作業のあとや、油を扱う工場で機械から漏れた油が広がっている場所などで、滑りによる転倒が起きています。

滑りによる転倒は体勢を立て直す余裕がないまま倒れるため、被害が重くなる傾向があります。

つまずきによる転倒

つまずきは、足元にあるものに足を引っかけたときに起こります。

要因になるのは、床のでこぼこや段差、放置された荷物、通路上の設置物などです。

これらの要因は、慣れによって意識されにくくなることが問題です。

踏み外しによる転倒

踏み外しは、足を置いた場所が想定と違っていたときに起こります。

要因になるのは、階段の昇り降り、脚立やはしごからの移動、トラックの荷台からの昇降などです。

足元が見えにくい状態や、手すりをつかめない状態が重なると危険が増します。

転倒の発生要因を取り除く対策

転倒災害は、現場の状態を改善することが有効な対策になります。

4S活動による床面の管理

凍結した路面や油汚れ、水濡れによる滑り、通路上の荷物へのつまずきを防ぐには、職場内の4S活動が基本的かつ重要な対策とされています。

4S

  • 整理
  • 整頓
  • 清掃
  • 清潔

4S活動によって転倒の原因を排除すれば、作業性が向上し、生産性の向上も期待できます。

通路、階段、出口に物を放置していないか、床の水たまりや氷、油、粉類などを放置せずその都度取り除いているか、という観点で職場を点検し、習慣化することが大切です。

通路の整備

作業通路における段差やでこぼこ、突起物、継ぎ目の解消は、通年で行う転倒災害防止対策です。

どうしても直せない箇所については、表示によって注意を促す方法もあります。

手すりや滑り止めの設置も、あわせて進めたい対策です。

照度の確保

足元が見えなければ、段差や障害物を避けにくくなります。

照明が設置されていても、器具の劣化によって当初の明るさを保てていないことがあり、通路が暗いという状況もあります。

作業が行われる時間帯に現場を歩き、足元が判別できるかを確かめて、暗い箇所が見つかれば照明器具の交換や増設で明るさを確保しておきましょう。

作業に適した靴の選定

転倒を防ぐには、適切な靴選びも欠かせません。

すべりにくくサイズの合った靴を選んでも、靴底の溝は使用とともに摩耗してしまいます。

どのような靴を履くのか、いつ交換するのかを社内の決まりとして定めておけば、判断が個人に委ねられずに済みます。

職場で危険を共有する取り組み

環境の改善とともに大切なのが、危険を共有する取り組みです。

作業者一人ひとりが危険の所在を把握していれば、行動の面から転倒を防げます。

危険箇所の見える化

危険の見える化とは、職場の危険を可視化して従業員全員で共有することです。

あらかじめ転倒のおそれがある箇所がわかっていれば、慎重な行動ができます。

転倒災害が多発している箇所は、危険マップやステッカーの貼り付けによって作業員全員で情報を共有しましょう。

従業員の参加のもとで危険な箇所や作業を洗い出し、過去に災害が発生した箇所、ヒヤリ・ハット事例の多い箇所、危険予知活動で注意が必要とされた箇所などを参考にします。

KY活動を行う

KY活動は危険予知の頭文字を取ったもので、業務を始める前に「どんな危険が潜んでいるか」を職場で話し合い、危ない点について合意したうえで対策を決める方法です。

設定された行動目標や指差し呼称項目を一人ひとりが実践することで、安全衛生を先取りしながら業務を進めます。

作業開始前の短い時間で当日の危険を確認し合うことが、設備対策では対応できない変化への備えになります。

まとめ

転倒災害は休業4日以上の死傷災害で最も件数が多く、60歳代以上で発生率が高くなっています。

転倒災害を防ぐためには、設備の改善と情報の共有を並行させることが有効かつ確実な方法です。

自社の職場に当てはまる要因がないか、ぜひチェックしてみてください。

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