高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「ハインリッヒの法則」をご紹介します!
聞いたことがある方もない方も、安全衛生の豆知識として、ぜひご参考にしていただければと思います。
突然ですが、「ハインリッヒの法則」とはどのような法則なのかご存知でしょうか?
ハインリッヒの法則は職場の安全衛生管理をする上では頭に入れておくべき法則として有名な法則です。
- 「よく知っているよ!」
- 「名前は聞いたことがあるかも」
- 「名前も来たことないし、なんじゃそれ?」
いろんな反応があるかと思います😊
そこでこのコラムではハインリッヒの法則とは何かをわかりやすく解説しようと思います。
職場の安全衛生にかかわる他の理論についても紹介するので、誰もが安心・安全に働ける環境づくりの一助にご活用ください!
ハインリッヒの法則とは?
ハインリッヒの法則とは、20世紀前半にアメリカの損害保険会社の統計分析のプロとして働いていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが導き出した法則です。
ハインリッヒが調査対象としていた工場での事故や労働災害を統計分析して導き出した事故・災害の法則で、1931に自著の「Industrial Prevention-A Scientific Approach」にまとめました。日本では1951年に「災害防止の科学的研究」として邦訳され、労働安全に関するバイブルとされています。
ハインリッヒの法則は「1:29:300の法則」や「ヒヤリハットの法則」とも呼ばれています。1件の重大事故が起こる裏には29件の軽微な事故があり、さらにその裏には300件の事故に至らなかったニアミス(ヒヤリ・ハット)があるということからきています。
300件ヒヤリハットがあれば1件が重大事故につながる!
- 300件の270件は運よく事故に繋がらなかった
- 300件中29件が軽微な事故に繋がる
- 300件中1件が重大事故が発生してしまう
労働災害の発生頻度を見積もることができるため、事故・災害の防止に関する基本的な考え方として世界的に定着しているのです。
例えばこんなヒヤリハット
厚生労働省の職場のあんぜんサイトで、高所作業のヒヤリハット事例について紹介されていますので抜粋してお伝えしていきます。
- トラックの荷台での作業中テールゲートリフターから転落しそうになった
- 選定作業中の安全帯を付け替えた時に枝が折れて墜落しそうになった
- 脚立を用いての作業中に足が滑り落ちそうになった
- 脚立のロックを忘れていてぐらつき落ちそうになった
- 高所でのボルト穴調整の作業中にシノが外れた反動で転落しそうになった
- 家屋の屋根での作業中に梁の通っていない箇所を歩いてしまった
- クレーン作業中の作業者に荷物が当たりそうになった
- スマホを見ながら歩いていて階段を踏み外してしまった
ここでお伝えしたヒヤリハットは一例ですが、まだまだ職場によってさまざまなヒヤリハットがあります。
日々の作業中に、一度は「ヒヤリ」とした経験があるという方も多いのではないでしょうか?
結果的に重大事故に繋がらなくてよかったものの、それを何度も繰り返していてはいつか大きな事故に繋がる恐れがあるのです。
職場の安全衛生とハインリッヒの法則
職場の安全衛生を考える上で、ハインリッヒの法則はどのように活用したら良いのでしょうか。事故・災害を防止するという視点でハインリッヒの法則の活用方法を紹介します。
ニアミスの発生頻度を減らすことの重要性
ハインリッヒの法則は工場での事故・労働災害から統計的に導き出された法則です。危険を伴う作業をしている現場では、300回のニアミスがあったら1回は重大な事故が起こるということが統計から想定さられます。
ニアミスで済んでいれば、その時その場での問題はないかもしれませんが、ハインリッヒの法則に従うとニアミスが多発していればいつかは軽微な事故、さらには重大な事故が起こる可能性が高まります。
まずはニアミスを減らす努力が、日々の職場の安全衛生管理で欠かせない非常に重要なことであることがわかります。
ヒヤリハットの収集・共有で事故を未然に防ぐのが大切
繰り返しになりますが、職場の安全衛生を考えるときに重要なのが、ニアミスをいかにして減らすかです。そして、各現場によってどのようなニアミスが起こるかは異なります。
そこで現場で働いている従業員からヒヤリハットの情報収集をして、共有する機会を作ることが効果的です。ヒヤリハットが起きやすいという認識があるだけで、ニアミスの発生頻度は低くなり、事故の発生を未然に防げるようになります。
職場で安全衛生委員会を設置するときには、ヒヤリハットの収集・共有に努めることがとても重要です。
危険を伴う作業でもオフィスワークでも重要
ハインリッヒの法則は工場での危険を伴う作業について着目して導き出された法則ですが、オフィスワークなどの他の作業についても無関係ではありません。
例えば、ロッカーの上に書類を積み上げていると、ロッカーの開け閉めをしたときに書類が上から落ちてきて怪我をするリスクがあります。電源タップのコンセントにほこりが積もることで、漏電による火災が起こる例もあります。他にも、出会い頭の人の衝突や、濡れた床に滑っての転倒など、日々の身近なところにも小さな危険は潜んでいます。
このようなリスク管理をするのは職場の労働衛生を保つ上で非常に重要です。オフィスワークも含めてヒヤリハットの情報を収集し、ニアミスを防ぐ措置を取ることで、安心・安全な労働環境をつくることを心がける必要があります。
ハインリッヒの法則に関連する2つの法則
ハインリッヒの法則と同様に事故や災害のリスクについての統計に基づく法則や、関連する理論はたくさんあります。その中でも有名な2つの法則をご紹介いたしますのでこちらも参考にしてください。
バードの法則
バードの法則はアメリカのフランク・バードによる統計分析によって1969年に見出された法則です。重症災害、軽傷災害、物損事故、ニアミスの比率が1:10:30:600というのがバードの分析結果です。
ニアミス > 物損事故 > 軽傷災害 > 重症災害
(600) (30) (10) (1)
タイ・ピアソンの法則
タイ・ピアソンの法則はイギリスのタイとピアソンによる1974年~1975年のデータの統計分析で導き出された法則です。重症災害、軽傷災害、応急処置、物損事故、ニアミスの比率が1:3:50:80:400という分析結果になっています。
ニアミス > 物損事故 > 応急処置 > 軽傷災害 > 重症災害
(400) (80) (50) (3) (1)
3つの法則からわかること
ハインリッヒの法則に比べてバードの法則、タイ・ピアソンの法則は細分化して統計分析をしています。
重症災害と軽傷災害、あるいは軽傷災害と応急処置の境界線も明確ではないので、そもそも比較するのはナンセンスです。ただ、3つの法則からわかるのは、およそ300~600回のニアミスに対して1回は重大事故が起こるということです。
ヒヤリハットに基づいて、とにかくニアミスをなくす努力の必要性を3つの理論が物語っています。
まとめ
ハインリッヒの法則とはアメリカのハインリッヒによる統計分析で導き出された事故・蝋度災害の頻度についての法則で、1件の重大事故を防ぐために、ニアミスを減らすことがどれだけ重要かということを数字で表したものでした。
ハインリッヒの法則に従うと300回のニアミスが起こるごとに1件の重大事故が起こるリスクがあります。
職場の安全衛生を保つにはニアミスやケアレスミスと言われる「小さなミス」を減らすことがとても重要だということです。ヒヤリハットの事例を従業員から収集して共有し、軽微な事故も起こさない安心・安全な職場づくりをしていきましょう。
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