高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「転落・落下事故が起きやすい職業」についてお伝えします!
ぜひご参考にしていただければと思います。
早速ですが、2021年の5月、労災ユニオンにおいて発表された労働事故がもっとも多い職種とは、ずばり”建設業”です。
さらに詳しく見ていくと、事故につながった原因や死亡事故の割合においては、「転落・転倒」がもっとも大きな割合を占めます。
昔から日本の建設業は事故の多い業界として知られてきた歴史がありますが、それは2021年になっても変わっていません。
なぜここまで建設業での落下事故は多いのでしょうか?
転落・墜落事故が減らない建設業界
建設業において、事故原因のもっとも大きな割合を占めるのは「転落・転倒」というごくありふれたものです。これだけであれば他の業種であっても、同じような転倒事故はあるため、飛び抜けて建設業の死亡事故が多い理由にはなりません。
建設業労働災害防止協会によると、令和2年度になっても全産業の死者数802名に対して、建設業は258名と32%以上を占めています。
令和 2 年の建設業における死亡災害発生状況の事故の型別にみると、 墜落 ・ 転落が 95 人 (36.8%)、交通事故(道路)37 人(14.3%)、崩壊・倒壊、はさまれ・巻き込まれが 各 27 人 (10.5%) を占め、 依然として高い割合を占めている。また、 死傷災害発生状況の事故の型別に見ると、 墜落・転落が 4,756 人 (34.1%)、転倒が 1,672 人 (11.2%)、 はさまれ・巻き込まれが 1,669 人 (11.1%) を占め、 依然として高い割合を占めている。
出典:全国建設業労災互助会より
死傷災害の枠で見れば、墜落・転落・転倒という項目は合計約45.3%と非常に高い数値であることが分かります。転落事故等によって怪我をする労働者の方々が1年間で約6,400名。実に1日に17.6もの方々が怪我、または死傷事故に合っているのです。
もちろん、この中には様々な理由があると考えられるため、一概に言い切れるものではありませんが、建設業の作業というのは他の業種に比べて、圧倒的にリスクが高いことが数値から判断出来るのではないでしょうか。
建設業全体で向き合うべき安全対策
昭和の高度成長期に比べると、建設業界での死亡事故は大きく減少していますが、割合としては依然として高い水準が続いています。
働き方改革に関する閣僚会議の中でも、建設業の安全対策に関する項目が話し合われるなど、現場単位、企業単位での改善策が求められるところです。
2022年1月から完全施行されたフルハーネス着用の義務化に合わせて、たとえ1階天井程度の高さであっても、落下や転落を防ぐために改めて安全器具の拡充や設置を考えていただきたいと思います。
ヘルメットで転落・転倒は防げない
建設業に限ったものでありませんが、安全器具のもっともポピュラーな装備として「ヘルメット」が挙げられるでしょう。
街中の工事現場や深夜の道路作業などで見かけることも多く、ヘルメットの着用率は非常に高くなっています。
労働安全衛生規則では、落下物から頭を守るための対策、そして高所作業などで万が一落下した場合に頭部を守るという目的から作業者、及び使用者の双方に対して着用義務を設定しています。
もちろん、ヘルメット着用には万が一の事故が発生した場合に頭部を守るという役割がありますが、一方で根本的な事故の原因となる転落や転倒のリスクを軽減するものではありません。
なお、2022年1月より完全施行された労働安全衛生法および労働安全衛生規則では、建設業においても作業時の高さ5m以上を目安にフルハーネスの着用が義務化されており、フルハーネスの着用+事故が起こりにくい環境づくりにより事故を未然に防ぐことが期待されています。
足場周りでも油断は禁物!!
一般的に、建設業での高所作業には足場が組まれることがほとんどであり、周囲への飛散物防止などのために周囲を防護ネットなどで囲んでいることも多くなります。
しかし、これらの防護ネットは落下防止という観点から見ると不十分であることも多く、使用者側でも安全対策を考えて頂きたいポイントの1つです。
シームレスな動きが求められる建設業では、全ての作業時にフルハーネスを着用することは難しいかもしれません。
ですが、実際に1日あたり17名以上が落下などによって怪我をしている現状を考えると、できる限りリスクを抑える努力はすべての現場において必要と言わざるを得ないのではないでしょうか。
フルハーネス着用者は「特別教育」の受講が必須
安全対策としてフルハーネスを導入する場合、フルハーネス着用者は6時間の特別教育を受ける義務が発生します。
※労働安全衛生法改正前の2019年2月より、フルハーネス着用者は特別教育の受講が義務化されています
建設業において、法令要件である「高さ2m以上かつ作業床の設置が困難な場所での作業」というのは全体で見れば多くはありませんが、足場の設置作業や回収、上棟式などにおいては適用範囲になることもあります。
フルハーネスを単純に導入すれば良いというわけではなく、今後フルハーネスを着用して作業する可能性のある作業者や一人親方には、正しくフルハーネスを使用するために「事前の特別教育」が義務化されているのです。
まとめ:安全対策の拡充でより良い労働環境を
今回は、様々な業種があるなかでも、もっとも落下・転落による死亡事故の多い「建設業」に焦点をあててご紹介してきました。
建設業の現場にも、高層ビルのように一般的に見ても危険だと判断出来るような場所から、住宅建築のようにそこまで高さを感じない場所まで様々なケースが存在しています。しかし、一般的な住宅であっても高さが2mを超えると落下時に起こる怪我のリスクは一気に上がるものです。
労働者年齢層も徐々に上がっており、今後に備えるという意味でも、フルハーネスをはじめとした「墜落制止用器具」を含めて、用途とリスクに応じた安全対策の見直しは必須事項です。
ご自身や大切な人の命を守るために、安心安全な現場づくりに目を向けていただけることを切に願います。
株式会社G-place 設備資材事業グループ
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