熱中症予防管理者とは?講習内容と職場での実践ポイントを解説

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「熱中症予防管理者」について考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。

気温が上がる夏場は、熱中症のリスクが高まるため対策が欠かせません。

事業者には、労働衛生教育の一環として「熱中症予防労働衛生教育」を実施する義務があります。

また、現場で作業管理を行う担当者に熱中症対策を任せる場合には、「熱中症予防管理者」の選任が必要です。

この記事では、熱中症予防管理者の役割や、講習内容を紹介します。

目次

熱中症予防管理者とは

熱中症予防管理者について詳しく解説します。

令和7年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行

近年、地球温暖化の影響から職場における熱中症による労働災害が深刻化しています。

厚生労働省の統計によると2024 年には1,257人と最も多くの死傷者を出しました。

そのうち死亡者数は 31人となっています。

出典:厚生労働省|2024 年(令和6年) 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)

このデータから熱中症対策は避けて通れない課題であることがわかります。

こうした状況を受け、2025年4月15日に改正労働安全衛生規則が公布され、同年6月1日から施行されています。

これまで努力義務にとどまっていた対応が、制度上の責任として明確に課されることになったということです。

改正後は、熱中症予防に関する労働衛生教育の実施が義務づけられました。

衛生管理者や安全衛生推進者等以外の人に熱中症予防対策を行わせる場合、熱中症予防管理者の選任が必要になります。

熱中症予防管理者の役割

熱中症予防管理者は、現場における熱中症対策を実行する役割を担います。

高温多湿な作業環境の中で、労働者の健康と安全を守るために日常的な予防措置から緊急時の対応まで幅広く行います。

具体的には、作業環境の管理や作業計画の見直し、WBGT値(暑さ指数)の測定、適切な休憩・水分補給の体制整備、作業者への教育・指導、そして万が一発症した際の対応手順の整備などです。

熱中症予防管理者が必要となる現場

熱中症予防管理者が必要になる作業は、次の条件に該当する現場です。

  • WBGT(暑さ指数)28度以上、または気温31度以上の環境での作業
  • 連続1時間以上、または1日4時間以上の実施が見込まれる作業

厚生労働省労働基準局安全衛生部は、平成28年2月29日付の通達(基安発0229第1号)において、「職場における熱中症予防対策の重点的な実施について」を示しており、建設業などが重点業種として明記されています。

その他にも、以下のような現場が考えられます。

  • 倉庫・物流業(空調設備のない倉庫での作業)
  • 警備業(屋外での立哨勤務)
  • 清掃業(屋外清掃、ビル清掃)
  • 調理業(厨房での作業)

屋内・屋外を問わず、暑熱環境下での作業には熱中症のリスクがあるため、業種にかかわらず管理体制の整備が求められています。

熱中症予防管理者になるには

熱中症予防管理者になるためには、厚生労働省等が定める「熱中症予防管理者労働衛生教育」を受講し、必要な知識を身につけることが必要です。

この教育は、厚生労働省や関係団体が定めたカリキュラムに基づいて実施されます。

講習内容

熱中症予防管理者労働衛生教育の講習は座学のみで、実技はありません。

所要時間は約3.5時間で、1日で修了できます。

学科教育

  • 熱中症の症状 (30分)
  • 熱中症の予防方法 (150分)
  • 緊急時の救急処置 (15分)
  • 熱中症の事例 (15分)
  • 付録講義(法改正の概要)

講習を最後まで受講した方には「熱中症予防管理者講習修了証」が発行されます。

修了証は即日交付される場合と、後日郵送される場合があります。

申込方法

熱中症予防管理者労働衛生教育の申し込みは、会場受講・出張講座・Web講座(オンライン講座)などで行います。

会場での受講は全国の労働基準協会や労働安全教習所、業界団体などが主催し、各地の研修室・会館などで定期的に開催されています。

申し込み先によって多少の違いはあるかもしれませんが、以下のような流れで申し込みを行います。

  1. 各都道府県支部のホームページから申込書をダウンロード
  2. 必要事項を記入し、FAXまたは郵送で申込
  3. 受講料の振込
  4. 受講票の受領

受講料は、テキスト代含めて概ね5,000円~10,000円程度です。

まとめ

熱中症予防管理者は、職場の安全と作業員の健康を守る重要な役割を担っています。

地球温暖化により今後も猛暑日の増加が予想される中、その必要性はますます高まっていくでしょう。

熱中症予防管理者労働衛生教育は、1日で受講が終わり、受講資格も必要ありません。

高温環境下での作業に従事させる事業者の方は、ぜひ熱中症予防管理者の配置を速やかに行いましょう。

熱中症は、適切な対策により予防可能な労働災害です。

熱中症予防管理者に選任された方は、正しい知識と対策を身につけ、安全で快適な職場環境づくりに貢献していきましょう。

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