高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「フルハーネスの特別教育と講習のWeb受講」についてできるだけわかりやすくお伝えします!
最近、「フルハーネスをつけて仕事をするときに、特別な講習を受けなければいけないの?」という質問をいただくことがありましたので、フルハーネスの特別教育について解説したいと思います。
フルハーネスの特別教育の受講を検討している方や、受ける必要があるのかどうかわからないという方にお読みいただけると嬉しいです。
こういう法律に基づいた内容となると、Googleで調べても専門用語や難しい表現が多くなかなか理解が・・・という方もたくさんいます。
なので、できるだけ専門用語を省いてわかりやすく解説できればと思います。ぜひご参考にしてください。
フルハーネスの特別教育とは?
労働安全衛生法の第59条では、事業者(会社)に対して「従業員を危ない業務につかせるときはその業務の安全に関する特別教育をしましょう」と定めています。
フルハーネス着用義務化と同じタイミングで、この”危ない業務”に、「高さ2メートル以上の作業床を設けられない場所で、フルハーネスを付けて行う業務」が追加されたことにより、フルハーネスの特別教育が必要となったというわけです。
つまりフルハーネスの特別教育とは、労働安全衛生法に定められる特別衛生教育のうち、フルハーネス着用者が対象となる教育のことを指します。
受講が必要な人
では、フルハーネスの特別教育を受講する必要があるのはどんな人でしょうか?
結論を簡潔に言うと、原則としてフルハーネスを着用して高所作業を行う人です。当たり前ですね(笑)
細かい補足をすると、業務内容によって必須な人と必須でない人がいます。
高さが2m以上の場所であっても、作業床がある場所での作業については特別教育の義務対象にはなりません。
上記の図のように、新規格のフルハーネス型安全帯(要求性能墜落制止用器具)の着用が義務付けられている作業であっても、特別教育が義務となっている作業とそうでない作業があります。
ただし、上記のような細かい部分はあれどフルハーネスを着用して業務にあたるのであれば、特別教育を受けておいてまったく損はないと思います。
法律では作業者(個人)ではなく事業者(会社)に対してその責務を定めていますので、事業者は労働者の命を守るための措置のひとつとして、特別教育を受講するよう促しましょう。
いつまでに受講する?
フルハーネスの特別教育は業務にあたる前日までに受講しましょう。
法律自体は2019年2月から施行されていますので、それ以後に作業床のない高さ2m以上の場所でフルハーネスを着用して業務にあたっている方で、「まだ受けてない!」という方がいらっしゃれば、知らず知らずのうちに法律違反となっている可能性があります😫
コロナ禍の影響もあり、現在ではオンラインでの受講が可能となりましたので、ぜひご自身のためにも受講することをおすすめします。
特別教育の内容
特別教育の内容は下記のように定められています。
学科科目で4.5時間、実技科目で1.5時間の合計6時間の内容です。
なかなかにボリューミーです。実際にオンラインで受講した弊社社員は「集中力を保つのが大変だった」と言っていました。
ひとりで画面と向き合って説明を聞くのが苦手な方は、講習会に参加したほうがいいかもしれません。
一部科目の免除(省略)
フルハーネスの使用について、十分な知識と経験を有すると認められる人は、学科・実技の科目の一部免除が認められています。
ではどんな人がどの科目の省略対象になっているのでしょうか?
- 特別教育の対象となる現場にて、6ヶ月以上フルハーネスを使用した作業経験がある人 ※2024年1月時点
➔上記内容からⅠ・Ⅱ・Ⅴを省略可能 - 特別教育の対象となる現場にて、6ヶ月以上胴ベルト型を使用した作業経験がある人 ※2024年1月時点
➔上記内容からⅠを省略可能 - ロープ高所作業特別教育受講者又は足場の組立て等特別教育受講者 ※2024年1月時点
➔上記内容からⅢを省略可能
対象となる環境にて作業経験が一定以上ある人は、それに相当する分野を省略することが可能です。
また、2019年2月1日の施行日前に特別教育を受講している方の再度の受講は不要とのことです。
これらのことから考えても、特別教育自体は基礎的な内容がメインということですね。しかし、なにをするにも基礎が最も重要であることは間違いありません。
免除のあるなしに関わらず、積極的な気持ちで受講していただければと思います!
特別教育はどうやって受ける?
特別教育の受講方法は、講習会に参加するかオンラインで受講するかを選べます。
双方のメリット・デメリットは下記のとおりです。
- 講習会に参加する
- メリット
- 講師と対面し他の参加者もいるので必然的に積極的な参加となり習得率が高まる
- 実技もしっかりと講習を受けられる
- デメリット
- 開催されている日時・場所が限られる
- 移動を含め多くの時間を要する
- メリット
- オンラインで受講する
- メリット
- いつでもどこでも受けられる
- 受講料が講習会に比べて安価
- デメリット
- 視聴環境によって集中力に差が出て習得率に個人差が出る
- 実技講習が省略されており、事業所等で別途行う必要がある
- メリット
どちらにも良い点・悪い点がありますので、ご自身の環境に合わせて選ぶとよいと思います。
新型コロナウイルス感染拡大以降においては、オンラインが人気のようです。
オンラインで長時間受講するのはなかなか大変ですが、うまく活用してしっかりと習得していただければと思います。
東京近郊で受講できる講習会
東京では下記の団体や企業が講習会を開催しているようです。 ※2024年1月時点
- 一般社団法人 労働技能講習協会
- フルハーネス型安全帯(墜落制止用器具)特別教育
場所:東京都内各所
料金:9,900円(税込)
HP:https://www.rougi.or.jp/course/whole/tokubetu_fullharness
- 一般社団法人 東京技能講習協会
- フルハーネス型安全帯使用作業特別教育
場所:東京都江戸川区 ※オンライン実施もあり
料金:10,200円(税込)
HP:https://www.tgkk.or.jp/tokubetsu/fullharness
- 東京クレーン学校(株式会社シグマ)
- フルハーネス特別教育
場所:東京都葛飾区
料金:11,000円(税込)
HP:https://heiwabashi.co.jp/crane/type/harness/
- 建設業労働災害防止協会(建災防) 東京支部
- フルハーネス型安全帯使用作業特別教育
場所:台東区民会館
料金:一般13,040円(税込)、支部会員12,780円(税込) ※令和5年4月以降の価格
HP:https://www.kensaibou-t.com/seminar/detail.php?id=41 ※東京支部
- 技術技能講習センター
- 墜落制止用器具使用従事者特別教育(フルハーネス型安全帯使用従事者 )
場所:東京都・千葉県・神奈川県
料金:8,950円(税込)
HP:https://tec-skill.co.jp/course/course-2437/
- 株式会社タダノ教習センター(東京教習所)
- 特別教育 フルハーネス(墜落制止用器具)
場所:東京都江東区
料金:11,400円(税込)
HP:https://sys.tadano.co.jp/license/course/tokubetu-harness-t
オンラインで受講できるWEBサイト
お次はオンラインで受講できるWebサイトをご紹介します。 ※執筆時(2021年2月)現在
- 一般社団法人 東京技能講習協会
- 【オンライン講習】フルハーネス特別教育
料金:10,200円(税込)
HP:https://www.tgkk.or.jp/on-line
- SAT株式会社
- フルハーネス型墜落制止用器具特別教育【顔認証】
料金:10,780円(税込) ※分割払い可
HP:https://www.sat-co.info/ec/hanesu
- 一般社団法人 建設不動産総合研修センター
- 「フルハーネス型墜落制止用器具使用従事者(実技事業者実施)」WEB講座
料金:7,700円(税込)
HP:https://www.cecc.or.jp/harness.html
- 一般社団法人 安全・技能推進協会
- スマホで受講する「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育講座」
料金:8,440円(税込) ※特別キャンペーン価格 通常は10,500円(税込)
HP:https://sasp.jp/wp/?p=162
- 株式会社きらめき労働オフィス
- フルハーネス型墜落制止用器具特別教育 オンライン講習
料金:8,600円(税込)~ ※参加人数によって料金が変わります
HP:https://www.kirameki-sr.jp/anzentai-online
受講できるところは多い
上記を見ておわかりいただける通り、フルハーネスの特別講習は色々なところで受けられます。
「スマホで受講する」というオンライン講座もあり、まさに時代ですね。
オンラインについては、録画型とリアルタイム型がありますが、自分のペースで休憩などもとれる録画型の方がおすすめです。
ただ、事業者側で人数を集めZoomなどを利用しリアルタイムで行う方式のものは質疑応答なども可能なので、より理解度が深まるかと思います。
今記事でご紹介した講習会は東京近郊のものですが、オンライン受講であれば自宅にいながら受講できるので便利です。
まとめ
本コラムでは、フルハーネスの特別教育についてお伝えしました。
結論としてフルハーネスを使用して高所作業を行う方は、該当の有無に関係なく受講されることをおすすめします。
安全のための知識について知っていると知らないでは大きな差がありますし、いざというときに必ずあなたのお役に立つはずです。
フルハーネスの着用義務化および特別教育受講の義務化に伴い、各団体で特別講習やWeb講座を用意しています。
コロナ禍で大人数が集まる場所に行くのが難しい場合は、Webを使っていつでもどこでも受けられるオンライン受講を上手に利用してみてください。
弊社ではフルハーネスはもちろん、建物側に取り付ける転落防止システムをご提案しております。
ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
株式会社G-place 設備資材事業グループ
📞03-3527-2992
受付時間 9:00-17:00 [ 土・日・祝日除く ]
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