金属の腐食とは?種類や特徴と安全対策のポイントを紹介!

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「金属の腐食(サビ)」について、安全対策の観点からまとめてみました。
安全対策製品には必ずといっていいほど金属が使われていますので、正しく安全に使用するために知っておいて損はないかと思います。ぜひご参考にしていただければと思います。

早速ですが、金属の腐食が起こると錆びが発生して、金属の状態が悪化してしまいます。

金属は、安全対策製品の分野で見ると、フルハーネスなどの装備や現場の足場などに頻用されています。金属の腐食による劣化が安全性に大きな問題を引き起こすリスクをあらかじめ想定して、安全対策を立てることが大切です。

この記事では金属腐食のプロセスや種類について詳しく解説した上で、安全管理のために重要なポイントを紹介します。

目次

金属の腐食とは

錆びたネジ

金属の腐食とは化学的または電気化学的な反応によって、金属の表面で消耗が起こる現象です。

金属が錆びるのは、水と酸素がある環境下で酸化還元反応が起きることにより金属酸化物が発生するからです。このような腐食は、湿食と呼ばれている電気化学的な腐食です。

一方、水がないところで起こる腐食は乾食と呼ばれています。一般的に金属の腐食によって劣化や錆びが問題になるのは前者の湿食です。

湿食で金属が腐食するプロセス

湿食で金属が腐食するときには、電池が電気を供給するときに起こす酸化還元反応と似た反応が起こっています。

電池の場合にはアノード(陰極)で金属が溶解し、カソード(陽極)で金属が析出するプロセスを通して電子の流れを生み出しています。最も有名なのはカソードとして銅、アノードとして亜鉛を用いる電池です。

金属が腐食するプロセスでは金属がカソード、酸素がアノードとして作用することにより金属が溶け出しいきます。鉄の場合には水酸化鉄が生成し、水分がなくなったときに酸化鉄になるというプロセスで錆びが発生します。

腐食しやすい金属の特徴

金属の腐食しやすさは酸化還元電位によって決まります。

酸化還元電位が低い金属は腐食しやすいのが特徴です。腐食しやすさを金属間で比較するならイオン化傾向とほとんど同じだと考えても問題ありません。

例えば、金やプラチナは酸化還元電位が高く、腐食することはほぼありません。しかし、酸化還元電位が低くなると湿食を受けやすくなります。

身近な金属では銅>スズ>鉄>亜鉛>アルミニウムといった順番で、腐食による劣化が容易に起こるようになります。

腐食促進因子

腐食促進因子があると金属は腐食を受けやすくなります。

水と酸素によって金属は腐食するので、どちらも腐食促進の根本原因です。この二つ以外に腐食を加速させるものを腐食促進因子と言います。

水のpHや水に含まれているミネラルの濃度、温度の高さが典型的な腐食促進因子です。pHが4以下の酸性になると腐食が大きく加速されます。

酸性雨によって金属が錆びやすくなる、ということを聞いたこともある方もいるかと思いますが、これは酸性雨のpHが低いのが原因です。

また、ミネラルの濃度が高いと電気が通りやすくなるため、湿食が起こりやすくなります。食塩水を鉄に付着させると錆びやすくなるのは、塩化ナトリウムによってミネラル濃度が上がるからです。

また、一般的に温度が上がると電気化学的な反応の速度が上がるため、腐食速度も上がります。

金属の腐食と関連する安全対策の重要ポイント

パススルー

器具や装備に使用されている金属が腐食すると安全性が下がります。

腐食が原因で強度が低下していたために、安全装置としてのフルハーネスの金属部分が破損してしまうリスクもあるので注意が必要です。

金属の腐食と関連する安全対策についてここでは重要なポイントに絞って紹介します。

使用する器具の腐食をチェックする

金具を使用している装備や金属製の器具を使用するときには、腐食の有無をチェックするのが最も大切です。フックやネジが錆びているなど、腐食が目視でも確認できたなら使用を中止しましょう。

装備や器具の安全性は、劣化していない状態での使用を想定して確保されています。腐食が見られたらすぐに買い替えてリスクを減らしましょう。

また、濡れたままの状態で器具を保管しておくと腐食が早まるので、器具の使用やメンテナンスをしたあとにはしっかり水分を取り、乾いた状態で保管するのも重要なポイントです。

腐食しにくい金属の器具や装備を選ぶ

腐食しやすさは金属の種類によって違うので、腐食しにくい金属を使用している器具や装備を選びましょう。

表面が腐食しにくい金属でメッキされていたとしても、現場で傷が付いたら中の金属が腐食するリスクがあります。使用環境によって要求される水準には違いがありますが、建築現場などで雨の中でも使用することがあるならメッキでは十分ではありません。

フルハーネスのように接触によって傷が生じるリスクがある装備の場合には特に気を付けて選定するようにしましょう。

まとめ

金属の腐食には湿食と乾食がありますが、錆びて金属が劣化する原因として多いのは湿食です。

水に濡れている状況では金属が溶け出して酸素が反応してしまい、錆びの発生を伴って金属の劣化を引き起こすリスクがあります。金属の腐食が進むと器具や装備の安全性に問題が生じるので、普段からチェックをするルールを整えるのが大切です。

腐食しにくい金属の器具や装備を用意し、点検やメンテナンスをする習慣を作って安全対策をしていきましょう。

錆びたネジ

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