
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「水場での作業に潜むリスク」についてまとめてみました!
ぜひご参考にしていただければと思います。
水位の下がった河川敷や、側溝などにある水場など、現場によっては水場を足元にして作業をしなければならないこともあります。
足場の組めないような場所や水位の低さなど、様々な理由で水の底を歩かなければならない機会もあるでしょう。
一見、浅くて作業にはほとんど影響しないような水場であっても、足元には何があるか分からないのが水中における最大のリスクです。
実際にどのような部分で事故に繋がりやすいのか、水場での作業に潜むリスクを取り上げてみましょう。
藻類や苔による滑り

コンクリートなどによって水底が整備されているような水場であっても、一定期間が経過することで水の中では藻類や苔など雑草などが成長していきます。
海辺のテトラ周辺などにも同じ原理がありますが、水中の特定箇所には急に藻場が現れたり、苔が覆っている部分が存在します。
「藻や苔のある場所」と言われると海辺のイメージが強いですが、川や池、小さな側溝など、ありとあらゆる環境で生育するため、水深の浅い、深いには関係なく注意する必要があります。
あらかじめ体幹を維持しやすいように、ハーネス類を装備したり、使用している電気を通す作業道具などにも落とさない工夫をしておくとより安心です。
また、作業靴についても裏面に滑りづらい加工がされているものなどを選定するといいです。
汚泥による一部の沼化

枯れ葉の積み上がりや砂地など、泥が発生しやすい条件下では、水底が汚泥の塊になって小さな沼のように変化していることがあります。
汚泥が積み上がった水底では、これらが滑りや転倒を引き起こす可能性はもちろん、足が埋まってしまう可能性もあるのです。
ウェーダーブーツなどを使用している場合であっても、様々な装備や道具を持った状態で片足でも汚泥に足を取られると簡単には抜け出せません。
また、足を取られると気が動転してしまいパニックに陥って暴れることでさらに状況が悪化することもあります。
そういったケースを予め想定し、肩まで支えられるフルハーネスの着用や他の作業員との声掛け連携等、汚泥に捕まった場合の対策をシミュレーションしておく必要があります。
害虫等への対策

水場と言われると、足元の対策が欠かせないものですが、足元が通常通り動かせない状況では害虫などへの対策もしておく必要があります。
もっとも気を付けたいのは、陸上でも猛威を振るうスズメバチです。
スズメバチは他の蜂類とは違い、1つの針で複数回刺す能力のある攻撃的な害虫として知られています。さらに神経毒性があるため、万が一刺された場合には早急な処置が必要ですが、水場では対処が遅れたり、対処そのものが難しくなる可能性も高いのです。
また、最近再び注意喚起がされているマダニなども水場に生息していることがあります。
小型の対ハチ用スプレーの携帯や防水装備など、作業時には害虫にも意識を向け、適切な装備を心がけましょう。
夏場の熱中症対策

屋内、屋外に限らず、真夏の作業では熱中症への対策が必要不可欠です。
水場が近いから「涼しい」と感じるのは外気温との差が大きいだけであり、体内の水分循環においては陸上とほとんど変化がありません。
水場の作業ではゴム製品などで通気性が悪くなることも多く、溜まった熱気を外に排出しにくい環境になりやすいものです。
膝下ほどの水位の場所であれば、上着は軽装にしつつ空調服などを使用して熱中症対策をしたり、携行品にペットボトルなどを置けるスペースを確保して熱中症対策をしっかりとしておきましょう。
放流などによる増水のリスク

農地用のため池や水場、河川では普段は水位がほとんどなくとも、上流側でダムなどの設備が存在しているケースがあります。
このため、豪雨などで一気に雨が降ると、一時的に水を放流して対応することがあります。
一方、河川やため池では同時に雨が降っていても、そこまで一気に増水を感じることは出来ません。しかし、一度放流されてしまうと、水位は瞬く間に上昇してしまう可能性が高いのです。
現場周辺の安全経路の事前確認はもちろんですが、水場の場合は上記のような施設が上流にないかどうかを確認した上で、放流などによって増水リスクがある場所での作業においては、各管理施設としっかり連携をとるようにしましょう。
また、急な放流に備えてすぐに避難出来るような縦型ハーネスや避難経路の確保なども事前にしっかりと実施することをおすすめします。
落下物などへの対策
水場の作業位置と水上での高さが1mを超えると、落下物も事故を引き起こすリスクとして捉える必要があります。
作業等に使用している工具類や資材はもちろん、自然物の落下などの可能性も考慮しなくてはなりません。
水場で作業している作業員は普段よりも反射的な動きを取れないため、ヘルメット等はもちろん、落下の可能性がある工具などにも落下防止ワイヤーや紐などを設置しておくと、少しでも落下物での事故リスクを軽減することが可能です。
まとめ:浅い水場でも安全管理は必須!
水場での作業は水深の深さや流れの速さにだけ気を取られがちですが、他の条件やリスクが重なることで作業事故のリスクも掛け算式に増加させてしまう可能性があります。
水場に潜むリスクには様々なケースがありますが、共通する問題としては、足場が不安定であり、姿勢や体幹を安定化出来ないという課題です。
現在、建設業界を中心に作業事故へのリスク軽減処置として高所作業等の条件下ではフルハーネスの義務化等が注目されていますが、高所ではなくとも姿勢を維持できない状態で作業を行うことは、怪我や事故などのリスクを増大させる可能性に繋がります。
外的要因が多い水場での作業には、様々な角度からリスク回避への対策を怠らないように事前の準備をしておきましょう。

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