
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「誰しもが陥ってしまう可能性がある正常性バイアス」についてまとめています。
知識の幅を広げるために、ぜひご参考にしていただければと思います。
あなたは「正常性バイアス」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、誰にでも備わっているとされる心理的な傾向の一つです。
正常性バイアスは、強い不安や混乱を避けるための心理的な防御として働く一方で、判断を遅らせる原因にもなります。
2011年の東日本大震災では、この心理が避難の決断を鈍らせ、多くの方が命を落とす一因になったとも指摘されています。
正常性バイアスは身近なもの

心理学的な話になると「自分には関係ない」と感じる人も多いかもしれません。
けれども、正常性バイアスは私たち全員が無意識に持っているもので、知らず知らずのうちに行動に影響を与えているのです。
正常性バイアス (normalcy bias) とは、どのような人間の心理にもある程度存在するとされる「認知バイアス」の一種で、目の前の物事が異常な状態を示していても、比較的大きな状態変化がない限りは正常であるとみなしてしまうこと。日常生活における心理的なストレスを軽減するため無意識に行われるとされる。
出典:実用表現日本語辞典
先ほども触れたように、2011年の東日本大震災では、
- 10mもの津波が自分を襲うとは思わなかった…
- 地震は大きかったものの、その余波を想像出来なかった…
- 地震に対する”慣れ”から正しく避難行動が出来なかった…
こういった「まさか」という思い込みが、多くの人の判断を鈍らせたとされています。
正常性バイアスは、労働災害の危険がある職場でも生じやすいとされています。
例えば作業中に警報音が鳴っても、「誤作動だろう」と思い込み、避難を後回しにしてしまうケースなどは典型例です。
正常性バイアスに備える日頃の訓練と意識づけ

正常性バイアスにとらわれると、危険を正しく認識できず、思わぬ事故につながるおそれがあります。
心理的な反応である以上、意識だけで完全に防ぐのは難しいですが、備える手段がないわけではありません。
非常時に迷わず行動するためには、平常時から体に動きを覚えさせておくことが効果的です。
避難訓練や緊急時を想定したシミュレーションを通じ、自然と反応できる状態を作っておきましょう。
多くの現場でこうした訓練は行われていますが、形式的に済ませるのではなく、自分ごととして意識的に取り組むことが大切です。
日頃の積み重ねが非常時の判断力を支え、正常性バイアスに流されにくい行動につながります。
予期せぬトラブルには安全対策機器も有効

訓練やシミュレーションを重ねていても、労働災害はわずかなキッカケで発生することがあります。
個人の意識が高まっていたとしても、物理的に回避が難しい事故は起こり得るものです。
正常性バイアスでは感知しきれない突発的なトラブルが、重大な被害をもたらしてしまうケースも少なくありません。
こうした事態に備える手段のひとつが、安全対策機器の導入です。
落下や転倒といったトラブル時に作業者の身を守る構造になっているものや、危険な経路を避ける動線設計を取り入れたものなど、対策の内容は多岐にわたります。
安全対策機器の導入は、現場のリスクを可視化でき、作業工程の見直しの機会にもなります。
屋外・屋内を問わず複合的なリスクを想定した上で適切な安全機器を整えることは、作業従事者の命を守るための命綱なのです。
過去の事故やトラブル例から対策を考える

正常性バイアスは、労働災害における人的要因のひとつとして軽視できません。
ただし、災害には他の原因も多く、さまざまな前例が存在します。
各種団体や労働組合が公表している統計データを参考にすれば、事故が起こりやすい場面や傾向を把握できます。
あらかじめリスクを明確にし、対策を講じることで現場に即した防止策も見えてきます。
もちろん、対策には費用や時間がかかるかもしれません。
しかし、重大な労働災害が発生すれば、企業の信用や事業継続に深刻な影響が及ぶおそれがあります。
長期的に見ればリスクへの備えは必要経費であると同時に、取引先や顧客からの信頼にもつながる重要な取り組みだといえるでしょう。
まとめ
今回は、あまり耳慣れない「正常性バイアス」という心理的傾向から、事故や災害への備えについて考えてきました。
個人の意識づけももちろん大切ですが、予測できないリスクに備えるためには具体的な予防策を講じた上で、職場全体の安全体制を見直すことが欠かせません。
弊社では、年間50件以上の現場を実際に訪問しているリスク管理のプロがいつでもご相談をお受けしています。
安全対策やリスク管理に関するご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

株式会社G-place 設備資材事業グループ
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