テールゲートリフターの事故分析と安全対策を解説

ひらの

高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「テールゲートリフターにおける事故」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。

テールゲートリフターでの作業では、事故による労働災害が多発しています。

厚生労働省からの注意喚起もあり、2024年2月には労働安全衛生規則が一部改正され、特別教育も義務化されました。

テールゲートリフターの事故を防ぐためには、職場全体としての取り組みが必要です。

この記事では、テールゲートリフターによる事故分析の概要や安全対策方法を解説します。

目次

テールゲートリフターの事故・労働災害分析

2020年の労働安全衛生総合研究所理数管理研究グループの特別研究報告では、テールゲートリフターの事故の分析をしています。

この分析は、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」に登録されている2011年・2012年の死亡・休業4日以上のデータ約62,287件を対象としています。

参考:労働安全衛生総合研究所|テールゲートリフター使用に起因する労働災害の分析

テールゲートリフターの事故パターン

テールゲートリフターの使用時に起きる事故は、以下のように転倒・転落が大半を占めています。

事故の種類件数割合
作業者の転倒・転落・飛び降り78件24.6%
荷の転倒・転落・下敷き等72件22.7%
作業者と荷の転倒・転落・下敷き等56件17.7%
ホームとの間に挟まれ65件20.5%
その他46件14.5%

作業者がホームで転倒・転落したといった事故で死傷した事例は42.3%に上ります。

作業者の教育や、作業者を守る安全対策の必要性が示唆されています。

ホームの位置・状態による事故の発生状況

テールゲートリフターのホームの位置によって、事故の発生率が異なります。

以下をご覧ください。

ホームの位置・状態件数割合
停止中・地面設置時57件18.0%
荷台高さ104件32.8%
中間地点9件2.8%
動作中・上昇時52件16.4%
下降時35件11.0%
展開・格納時21件6.6%
不明39件12.3%

この表からホーム停止中の事故が、全体の半数以上を占めていることがわかります。

その中でも荷台高さで停止時の事故が全体の1/3程度で突出しています。

荷台での作業の感覚になることが大きな原因と考えられています。

事故の発生原因

テールゲートリフターの事故発生原因を大きく分類すると、以下のようになります。

事故の原因件数割合
ホームの不安定さ
(傾き、キャスターの脱輪、バランスの崩れなど)
143件39.7%
ホームの表面状態
(作業者の滑り、つまずき)
49件13.6%
使用方法の誤り
(はみ出し、乗り降り、ストッパーの誤使用など)
130件36.1%
その他38件10.6%

ホームが不安定で事故が起きた、正しい使用をしていなかった事例がそれぞれ3割以上を占めています。

ホームの安定性を確認していなかった事故も点検不足が原因の可能性があるため、ワークフローの作成や社員教育の必要性が示されている結果です。

テールゲートリフターでの事故を防ぐ安全対策

テールゲートリフターの事故は、適切な安全対策を心掛けることによって最小限に抑えられます。

安全な労働環境を確立するために、すぐにでも始めるべき取り組みを紹介します。

特別教育を受講する

2024年2月から、テールゲートリフターを使用した荷役作業に係る特別教育が義務化されています。

この教育は、基本的な知識と作業方法を身に付けられる重要な機会です。

法的に義務付けられているため、受講していない従業員をテールゲートリフターでの荷役作業に従事させると違法となります。

テールゲートリフターの事故を防ぐ基本・ルールの教育を実施する

現場で事故を防ぐ意識を持たせるために、定期的な教育の実施が重要です。

労働安全衛生総合研究所と厚生労働省では、テールゲートリフターを安全に使用するための「6基本&11場面別ルール」を作成し、事故防止の注意喚起をしています。

平坦な場所での作業、ストッパーの使用などの基本と使用場面ごとの注意点がまとめられているため、定期研修での活用がおすすめです。

参考:厚生労働省|安全にテールゲートリフターを使用するために

安全な手順を職場・作業ごとに定めて定期的に見直す

テールゲートリフターでの作業内容ごとに、具体的な手順を作成することも重要な安全対策です。

上述の基本・ルールを盛り込んだワークフローをマニュアル化し、周知徹底することで事故のリスクを減らせます。

保護帽・手袋・安全靴などを装着して作業する

保護帽、手袋、安全靴などを完備し、必ず装着して作業することを徹底しましょう。

トラックの荷台に親綱を設置し、安全帯をつないで作業する方法もあります。

これは、テールゲートリフター上だけでなく、荷台上での作業の安全性を高める効果的な対策です。

まとめ

テールゲートリフターでは毎年事故が発生しており、主な事故はホームが荷台位置にあるときに起きています。

転落・転倒が多いのが特徴で、正しい使い方をしていなかったために発生している事故が目立ちます。

事故防止のためには、ワークフローの作成と従業員教育の徹底が不可欠です。

さらに、従業員を守るための安全装備を充実させ、ワークフローに取り入れることで、安全に作業できる環境を整えることが大切です。

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