
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「フルハーネスの使用期限」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。
フルハーネスは、高所作業での墜落事故を防ぐために欠かせない安全装備です。
ただし、どんな製品にも寿命があるように、フルハーネスにも使用期限があります。
もしも期限を過ぎたまま使い続ければ、本来の性能が発揮されず、命を守れない危険もあります。
この記事では、そうしたリスクを避けるために知っておきたいフルハーネスの使用期限と点検のポイントについて解説します。
フルハーネスの使用期限

フルハーネスの使用期限は、法律や省令で明確に定められているわけではありません。
ただし、多くのメーカーが自主基準として期限を設けており、安全管理の観点からもその基準に従うことが推奨されています。
一般的には、以下のような使用期限が目安とされています。
- 使用開始から3年
- 未使用の場合は製造から7年
なお、使用期限内であっても、使用状況や保管環境によっては劣化が早まることがあります。
あくまで目安として考え、状況に応じた判断が大切です。
また、ランヤード部分はフルハーネス本体よりも劣化しやすく、「使用開始から2年」が交換の目安とされています。
フルハーネスの使用期限が設定されている理由

使用期限が設けられている大きな理由は、安全性を確保するためです。
使い続けていると紫外線、湿気、汚れなどの影響によって徐々に劣化していきます。
見た目には問題がなくても、内部の繊維が傷んでいたり、金具部分の強度が落ちていたりする可能性もあります。
フルハーネスの使用期限を守らなかったことで、過去に重大な事故が発生した事例も報告されています。
参考:東京労働局労働基準部|足場組立て中、安全帯が切断し墜落する災害が発生
メーカーが定める使用期限を守ることは、作業員の命を守る上でも極めて重要です。

フルハーネスの使用期限の確認方法
フルハーネスの使用期限を確認したい場合は、まず製品に付いているタグやラベルを確認しましょう。
多くの製品では、バックル付近に製造年月日が記載されています。
もし記載が読み取れない、あるいは見つからない場合は、購入時の書類や納品書を確認するのも一つの方法です。
また、各メーカーの取扱説明書には、使用期限や点検・廃棄の基準、交換の目安が明記されています。
どちらも見つからない場合は、型番やシリアル番号をもとに、メーカーや販売店へ問い合わせることで製造時期を確認できることがあります。
使用期限内であっても交換が必要な場合

フルハーネスは、使用期限内であっても交換が必要になることがあります。
もっとも代表的なのが、墜落や転落の衝撃を受けたケースです。
一度でも落下を止めるために使用されたハーネスは、内部構造に損傷を受けている可能性があります。
そのまま使い続けるのは非常に危険なので、必ず新品に交換してください。
また、ベルトのほつれや金具のゆがみ、破損など外観から異常が確認できる場合も交換を強くおすすめします。
フルハーネスの点検について

始業点検
フルハーネスは、毎回の使用前に点検を行いましょう。
ベルト部分を確認し、摩耗や裂け、焼け、変色がないかをチェックします。
特に縫製部分は丁寧に確認し、ほつれや断裂がないか注意深く見てください。
金具類についても、変形・亀裂・腐食の有無を点検し、可動部分がスムーズに動くかを確かめます。
バックルやフックの開閉に違和感がある場合は、その時点で使用を中止しましょう。
定期点検の実施
厚生労働省のガイドラインでは、フルハーネスは使用頻度にかかわらず、6か月に1回以上の定期点検を行うことと明記されています。
メーカーによっては1ヶ月に一度という厳しい基準で定期点検を求めていることもあります。
定期点検では、日常点検と同様にベルトの外観確認やバックルなどの動作確認を通じて、安全性を総合的に評価します。
点検結果は必ず記録に残し、製品ごとの履歴を管理することが重要です。
不安な点がある場合や判断に迷うときは、メーカーや専門業者による点検サービスの利用も検討しましょう。
まとめ
フルハーネスの使用期限は、高所作業における安全を守る上で非常に重要な要素です。
一般的には「使用開始から3年」「未使用でも製造から7年」が目安とされていますが、使用環境や管理状況によっては、それより早い交換が必要になることもあります。
日常点検や定期点検を確実に行い、少しでも異常が見られた場合は、迷わず使用を中止してください。
また、一度でも墜落などの強い衝撃を受けたハーネスは、見た目に問題がなくても必ず交換が必要です。
安全に関する判断に迷ったときは、メーカーや専門業者に相談しましょう。

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