
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「労働安全衛生法」について、高所作業・高所安全という視点からまとめてみようと思います。
コンプライアンス意識が高まる昨今、法令遵守はもちろんですが、なぜ必要なのか・守らないとどうなるのかという視点からも、ぜひご参考にしていただければと思います。
高所作業を行う現場では、墜落や転落といった事故のリスクがつきまといます。
このような事故を防ぐため、企業には労働安全衛生法に基づく厳格な管理体制が求められています。
もし労働安全衛生法に違反した場合、会社は刑事責任を問われ、罰則を受ける可能性もあります。
「知らず知らずのうちに違反していた」では済まず、従業員の生命や会社の信用を大きく損なうリスクがあるのです。
この記事では、高所作業にフォーカスし、企業が取り組むべき具体的な安全対策についてわかりやすく解説します。
労働安全衛生法とは

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的として制定された法律です。
企業には、労働者が安全に働ける環境を整備する義務があります。
労働安全衛生法に基づき、事業者は適切な安全管理体制の構築や、作業環境の改善、必要な教育や健康診断の実施などを行わなければなりません。
もし労働安全衛生法に違反した場合には、行政指導を受けたり、重大な違反に至った場合には刑事責任を問われ、罰則が科される可能性もあります。
特に高所作業などの危険を伴う業務においては、法律を正しく理解し、適切な対策を講じることが求められます。
労働安全衛生法の基本的な構成
労働安全衛生法は労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を整えるために多岐にわたる規定を設けています。
章立てを参考にして基本的な構成を抜き出すと以下のようになります。
- 安全衛生管理体制
- 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置
- 機械等並びに危険物及び有害物に関する規制
- 労働者の就業に当たっての措置
- 健康の保持増進のための措置
- 快適な職場環境の形成のための措置
- 免許等
- 事業場の安全又は衛生に関する改善措置等
- 監督等
このように安全衛生管理の体制を整えることから、個別の労働内容に対して健康被害や危険の防止措置などが細かく規定されています。
労働安全衛生法違反による罰則の例

労働安全衛生法に違反した場合には、違反内容の重大性に応じて懲役刑または罰金刑などの罰則が科されることがあります。
ここでは、高所作業に関連する主な違反行為と、それに対する罰則の例を紹介します。
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
- 作業主任者の選任義務違反
- 健康障害の防止措置義務違反
- 墜落などの危険を伴う作業での危険防止措置の不備による労災
- クレーンや高所作業車などの無資格運転
50万円以下の罰金
- 安全衛生教育の未実施
- 労災発生時の報告義務違反
なお、重大な違反行為(危険作業に対する管理者の故意による不作為など)があれば、10年以下の懲役または300万円以下の罰金など厳しい刑罰が適用されることがあります。
高所作業において労働安全衛生法に違反しないための対策

高所作業は、労働災害の中でも特に重篤な事故が発生しやすい分野です。
もし安全管理を怠れば重大な人身事故につながるだけでなく、労働安全衛生法違反による厳しい罰則や、企業の信用失墜も免れません。
ここでは、高所作業現場における労働安全衛生法順守のために特に重要な対策を、装備面・教育面・管理面に分けて整理します。
【装備面の対策】墜落防止措置の徹底
高所作業では、墜落を防止するための安全装置の設置・使用が義務付けられています。
具体的には、フルハーネス型墜落制止用器具を着用し、適切な接続設備(ライフラインや親綱)を設置する必要があります。
現場に応じて安全ネットの設置や、作業床の手すり設置など追加措置を講じることも重要です。
使用する器具は、規格に準拠している製品であることを必ず確認しましょう。

【教育面の対策】資格取得と安全衛生教育の実施
高所作業車の運転やクレーン操作には、所定の技能講習修了または免許取得が必須です。
無資格運転は重大な違反となり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となります。
また、新たに労働者を雇い入れる場合や、作業内容が変わる場合には労働安全衛生法第59条に基づく安全衛生教育を実施しなければなりません。
実施記録を作成し、一定期間保管することも求められています。
【管理面の対策】労災報告体制の整備
万一労災事故が発生した場合には、速やかに労働基準監督署へ報告する義務があります。
報告漏れを防ぐため、以下の体制整備が有効です。
- 労災発生時の一次対応フロー作成
- 労働者から直属上司への即時報告義務付け
- 緊急連絡網の整備と周知徹底
また、日常的なストレスチェックの実施など、メンタルヘルスケアにも配慮することで間接的な事故予防につながります。
常に「労働者を守る」という姿勢で職場環境や労働環境を整備すると、自然と労働安全衛生法を遵守する方向での対応ができるようになります。
まとめ

労働安全衛生法に違反すると刑事責任を問われたり、50万円以下の罰金を科されるだけでなく、企業の社会的信用を大きく損なう可能性もあります。
特に高所作業では、墜落・転落による重大事故のリスクが常に伴い、ひとつのミスが命に直結する危険があります。
そのため作業現場に応じた適切な墜落防止措置や、安全装置・転落防止システムの整備は欠かせません。
労働者を守るという視点を第一に現場環境を見直し、必要な対策を着実に実施していくことが重要です。
労働安全衛生法の遵守を会社の重要な方針と位置づけ、安全な職場づくりに積極的に取り組みましょう。

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