
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「高所作業車運転特別教育」に視点を向けて、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。
高所での作業を支援するための車両を、高所作業車と呼びます。
そのうち作業床の高さ10m未満の高所作業車を操作する場合、「高所作業車運転特別教育」の受講が義務付けられています。
高所作業車運転特別教育の目的は、高所作業車の基本構造や操作方法、安全管理の知識を学び、事故を防ぐことです。
この記事では、高所作業車運転特別教育の内容や受講方法についてお伝えしていきます。
高所作業車の定義

高所作業車は、高所での作業を安全に行うために作られた特殊な車両です。
自走ができて、作業床に作業員を乗せたまま2m以上まで昇降できます。
高所作業車の種類は、走行装置と作業装置の違いで分類されます。
走行装置は、トラック式、クローラ式、タイヤ式の3つ、作業装置ではブーム式、垂直昇降式の2つに分けられます。
高所作業車の用途は多岐にわたり、建設現場、信号機や街灯の保守、街路樹の整備、航空機の整備、防犯カメラの設置、撮影作業などに活用されています。

高所作業車運転特別教育について

高所作業車の運転は、労働安全衛生法第59条に基づいて特別教育の受講が義務付けられています。
ここでは、高所作業車運転特別教育の対象となる車両や受講の必要性について解説します。
対象となる高所作業車
対象となるのは、作業床の高さ10m未満の高所作業車です。
作業床の高さ10m以上の高所作業車を運転するためには、技能講習を修了する必要があります。
また、車両自体が10m以上の作業が可能な場合、作業床を10m未満に制限して使用したとしても特別教育修了者が運転することはできません。
高所作業車運転特別教育の受講条件
高所作業車運転特別教育を受講するための条件は、年齢制限のみです。
18歳以上であれば誰でも受講できます。
これまでの業務経験や自動車の運転免許の有無に関係なく、国籍による制限もありません。

高所作業車運転特別教育の内容

高所作業車運転特別教育は学科と実技で構成されており、計9時間以上の講習が必要です。
学科講習
内容 | 時間 |
---|---|
高所作業車の構造と取扱い | 3時間 |
原動機に関する知識 | 1時間 |
運転に必要な一般的事項 | 1時間 |
関係法令 | 1時間 |
高所作業車の構造と取扱い、および原動機に関する知識の講習では、高所作業車の基本的な仕組みや機能を理解し、安全な操作方法を学びます。
運転に必要な一般的事項では、走行時の注意点や基本的な操作技術を習得し、安全に運転するための知識を身につけます。
関係法令の講習では、労働安全衛生法を中心に、高所作業車の運転に関わる法律や安全基準を学び、適切な作業環境を維持するためのルールを確認します。
実技講習
実技講習は3時間行われます。
実際に高所作業車を操作し、定められた方法で作業床の昇降を行うなど、基本操作や安全確認の手順を習得します。
高所作業車運転特別教育の受講方法

高所作業車運転特別教育を受講するときはどのような方法があるでしょうか。
対面講習とオンライン講習の2種類の方法で受講できます。
対面講習
高所作業車運転特別教育は、以下のような場所で講習が開催されています。
- 各事業所(企業等)
- 都道府県労働局長登録教習機関
- 安全衛生教育センター
オンライン講習
高所作業車運転特別教育は、学科講習をオンラインで受講することが可能です。
ただし、実技講習は対面での受講が必須のため、オンライン受講のみでは修了できません。
実技講習については、各事業所で「実技実施責任者(経験者)」を選任すれば、自社内で実施できます。
高所作業車運転特別教育の注意点

最後に、高所作業車運転特別教育の注意点についてお伝えします。
公道の運転
高所作業車運転特別教育を修了しても、公道で運転するためには別途運転免許が必要です。
高所作業車の車両総重量や最大積載量によって、運転免許の種類が異なります。
車両総重量 | 最大積載量 | 免許の区分 |
---|---|---|
3.5~7.5t未満 | 2~4.5t未満 | 準中型免許 |
7.5~11t未満 | 4.5~6.5t未満 | 中型免許 |
11t以上 | 6.5t以上 | 大型免許 |
普通運転免許でも車両総重量3.5t未満、最大積載量2t未満の高所作業車であれば運転できますが、大型の高所作業車を運転する場合は、上記の表に従って適切な免許が必要です。
有効期限
高所作業車運転特別教育の修了証には有効期限がなく、更新の必要はありません。
ただし、安全意識を維持するために、常に知識や技術の向上を心がけましょう。
まとめ
高所作業車運転特別教育は、高所作業車を使って安全に高所作業を行うために欠かせない資格です。
作業床の高さ10m未満の高所作業車を操作する場合、必ず受講しなければなりません。
安全管理の一環として作業者に適切な教育を受講させ、労働災害の防止に努めましょう。

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