
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「無足場工法」について解説し、安全対策を考えてみたいと思います。
ぜひご参考にしていただければと思います。
足場を組まずに作業を行う「無足場工法」が、建設現場の新たな選択肢として広がりつつあります。
工期の短縮やコスト削減といった点が注目されていますが、高所作業である点に変わりはなく、安全対策の徹底は欠かせません。
本記事では、無足場工法の特徴や現場で実践すべき安全対策のポイントを紹介します。
無足場工法とは

無足場工法とは、建物や構造物の外壁や高所部分で足場を設けずに作業を行う施工方法です。
特に足場の設置が難しい場所や、設置スペースが限られた現場に適しています。
ここでは無足場工法をイメージしてもらうために、種類やメリットデメリットについて紹介します。
無足場工法の種類
無足場工法は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
ロープアクセス
ロープアクセスとは、足場を組まずにロープと専用装備を使用して高所での作業を行う方法です。
洞窟探検や登山の技術を応用して発展した方法で、上下移動や横移動を行いながら作業できます。

高所作業車
高所作業車からアームを伸ばし、作業位置まで作業員を運ぶ方法です。
安定した足元で資材や工具を持ったまま移動できる方法ですが、車両を配置できるだけのスペースと地盤の強さが必要です。

ゴンドラ作業
建物の屋上に設置した吊り元からワイヤーで吊り下げたゴンドラに乗り込み、上下移動しながら作業を行う方法です。
屋上に設備を設置できることが前提となるため、既存の設備状況によっては設置が難しい場合もあります。

無足場工法のメリット
無足場工法には、足場の設置にかかる時間と金銭的コストを削減できるというメリットがあります。
足場を組まずに作業できるため準備期間を短縮でき、緊急対応にも適しています。
また、組立や解体の手間がなく、設置費用も不要です。
建物同士の間隔が狭い場所や、人通り・車両通行の多い道路沿いなど足場の設置が難しい環境でも作業がしやすくなります。
無足場工法のデメリット
無足場工法は足場を設置せずに作業を行える工法ですが、現場によっては適用が難しいケースもあります。
例えば高層ビルの上層階や、外壁が大きく張り出したオーバーハング構造では、作業位置へのアプローチが確保できず、施工が困難になる場合があります。
また、施主が作業の様子を直接確認しづらい点も課題で完了報告は、写真など画像に依存する形になります。
無足場工法に対応できる業者が限られている点にも注意が必要です。
無足場工法に限ったことではありませんが、作業員自身の墜落リスクに加え、工具の落下などによる第三者被害も想定されるため、安全面の管理を徹底しなければなりません。
足場工法と無足場工法の違い

ここで足場工法と無足場工法の違いについて見てみましょう。
作業環境の構造が異なる
足場工法では、作業員が安定した構造物の上で作業を行います。
作業床や手すり、昇降用の階段が整備され、複数人での作業や資材の持ち運びがしやすい環境が確保されます。
無足場工法では、ロープや高所作業車などを使って身体を支えながら作業位置にアクセスします。
作業空間が限定され、必要最小限の人員で対応するのが基本となります。
安全管理のアプローチが異なる
足場工法は、安全設備が構造物の一部として組み込まれるため、安全対策の標準化がしやすくなります。
手すりや親綱、開口部の転落防止措置などが計画的に整備されるのが一般的です。
無足場工法では、作業者個人の判断や装備の取り扱いが安全性に影響する場面が多くなります。
装着ミスや器具の不備が事故につながるため、より意識の高さが求められます。
施工工程とコストに違いがある
足場工法は、足場の設置・解体に時間と人手がかかるため、工期が長くなりやすく費用も高くなります。
無足場工法では足場の準備が不要なため、短期間かつ低コストでの施工が可能です。
まとめ
無足場工法は、足場の設置が難しい現場で活用される効率的な施工手法です。
工期の短縮やコスト削減といった点で注目されていますが、安全確保の方法は足場工法とは構造的に異なります。
特にロープアクセスのように作業床を持たない工法では、安全を支える要素が作業者の装備や操作技術に依存します。
現場の状況に応じた器具の選定と使用ルールの徹底、安全責任を共有する体制の構築が欠かせません。

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