
高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し安全対策のご提案をしています。
この記事では「転落・落下事故が起きやすい職業」についてお伝えします!
ぜひご参考にしていただければと思います。
早速ですが、2021年の5月、労災ユニオンにおいて発表された死亡事故が多い職種は、ずばり”建設業”です。
さらに詳しく見ていくと、建設業における死亡事故の割合には、「転落・転倒」が最も大きくなっています。
昔から日本の建設業は事故の多い業界として知られてきた歴史がありますが、それは2025年になっても変わっていません。
なぜここまで建設業での落下事故は多いのでしょうか?
転落・墜落事故が減らない建設業界

建設業において、事故原因のもっとも大きな割合を占めるのは「転落・転倒」というごくありふれたものです。
これだけであれば他の業種であっても、同じような転倒事故はあるため、飛び抜けて建設業の死亡事故が多い理由にはなりません。
令和6年度では全産業の死者数724名に対して、建設業は226名と31%を占めています。

また、以下は令和2年のデータになりますが、死傷災害の枠で見れば、墜落・転落・転倒という項目は合計約45.3%と非常に高い数値であることが分かります。
令和 2 年の建設業における死亡災害発生状況の事故の型別にみると、 墜落 ・ 転落が 95 人 (36.8%)、交通事故(道路)37 人(14.3%)、崩壊・倒壊、はさまれ・巻き込まれが 各 27 人 (10.5%) を占め、 依然として高い割合を占めている。また、 死傷災害発生状況の事故の型別に見ると、 墜落・転落が 4,756 人 (34.1%)、転倒が 1,672 人 (11.2%)、 はさまれ・巻き込まれが 1,669 人 (11.1%) を占め、 依然として高い割合を占めている。
出典:全国建設業労災互助会より
転落事故等によって怪我をする労働者の方々が1年間で約6,400名。
実に1日あたり17人もの方々が怪我、または死傷事故に合っているのです。
もちろん、この中には様々な理由があると考えられるため、一概に言い切れるものではありませんが、建設業の作業というのは他の業種に比べて、圧倒的にリスクが高いことが数値から判断出来るのではないでしょうか。
建設業全体で向き合うべき安全対策

昭和の高度成長期と比べると、建設業界における死亡事故の件数は大幅に減少しました。
それでも、全体に占める割合としては依然として高い水準にあります。
働き方改革に関する閣僚会議でも、建設業の安全対策は重要な議題とされており、現場ごと・企業ごとに具体的な改善策が求められています。
2022年1月に完全施行されたフルハーネスの着用義務にあわせて、たとえ1階の天井程度の高さであっても、落下や転落のリスクを軽視せず、安全器具の設置や整備を改めて見直していただきたいところです。
ヘルメットで転落・転倒は防げない

建設業に限った話ではありませんが、安全器具の中でも最も一般的な装備のひとつが「ヘルメット」です。
街中の工事現場や深夜の道路作業などでもよく見かけるように、現在ではヘルメットの着用率は非常に高くなっています。
労働安全衛生規則では、落下物による頭部への危険を防ぐこと、また高所作業中に万が一落下した際に頭部を保護することを目的として、作業者と使用者の双方に着用が義務づけられています。
ヘルメットは万が一の事故の際に頭部を守る重要な役割を果たしますが、それだけで転落や転倒といった事故そのものを防ぐことはできません。
根本的なリスクへの対処には、別の対策が必要です。


なお、2022年1月に完全施行された労働安全衛生法および労働安全衛生規則では、建設業においても高さ5メートル以上の作業を対象に、フルハーネスの着用が義務化されました。
フルハーネスの着用と、事故が起こりにくい環境整備の両面から、安全性の向上が期待されています。
足場周りでも油断は禁物!!

一般的に、建設業における高所作業では足場が組まれることがほとんどです。
飛散物の防止を目的として防護ネットなどで周囲を囲うケースも増えています。
しかし、防護ネットは落下防止という観点では十分とはいえず、使用者側においても安全対策の強化が求められます。
シームレスな動きが求められる建設業では、全ての作業時にフルハーネスを着用することは難しいかもしれません。
それでも、1日あたり17名以上が落下などによって怪我をしているという現状を踏まえると、可能な限りリスクを抑える取り組みは、すべての現場で欠かせないものといえるでしょう。

フルハーネス着用者は「特別教育」の受講が必須
安全対策としてフルハーネスを導入する場合、フルハーネス着用者は6時間の特別教育を受ける義務が発生します。
※労働安全衛生法改正前の2019年2月より、フルハーネス着用者は特別教育の受講が義務化されています
建設業において、法令要件である「高さ2m以上かつ作業床の設置が困難な場所での作業」というのは全体で見れば多くはありませんが、足場の設置作業や回収、上棟式などにおいては適用範囲になることもあります。
フルハーネスを単純に導入すれば良いというわけではなく、今後フルハーネスを着用して作業する可能性のある作業者や一人親方には、正しくフルハーネスを使用するために「事前の特別教育」が義務化されているのです。

まとめ:安全対策の拡充でより良い労働環境を

今回は、様々な業種があるなかでも、もっとも落下・転落による死亡事故の多い「建設業」に焦点をあててご紹介してきました。
建設業の現場にも、高層ビルのように一般的に見ても危険だと判断できるような場所から、住宅建築のようにそこまで高さを感じない場所まで様々なケースが存在しています。
しかし、一般的な住宅であっても高さが2mを超えると落下時に起こる怪我のリスクは一気に上がるものです。
労働者の年齢層も徐々に上がっており、今後に備えるという意味でも、フルハーネスをはじめとした「墜落制止用器具」を含めて、用途とリスクに応じた安全対策の見直しは必須事項です。
ご自身や大切な人の命を守るために、安心安全な現場づくりに目を向けていただけることを切に願います。

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