高所作業時の事故を「ゼロ」に!
株式会社G-Place 設備資材事業グループの平野です。
弊社では現場での高所事故を防ぐべく、年間のべ50件以上の現場にお邪魔し高所安全対策のご提案をしています。
このコラムでは「屋上看板の点検」についてまとめました。
ぜひご参考にしていただければと思います。
屋上看板の点検は2015年から義務化が進められてきました。
国土交通省でも2017年に「屋外広告物の安全点検に関する指針(案)」を作成し、地方公共団体に屋外広告物の点検の促進のための取り組みを進めるように求めています。
義務化に向けたプロセスが進む中で設置者が対応しなければならないことも増えています。
この記事では屋上看板の点検方法と、必要資格の観点から今後に必要な対策を解説します。
屋上看板の点検が義務化されるようになってきた理由
屋上看板の点検が義務化される動きが強まったのには理由があります。
2015年に札幌市ではビルの外壁に設置した看板の一部が落下し、下にいた女性が重体になるという事故が起こりました。
この事故を発端にして、屋上看板のように高所にある看板を代表として、屋外広告物の点検の義務化が検討されるようになっています。
屋外広告物の落下や転倒による被害リスクを減らすのが主な目的ですが、看板が景観を損なっている場合があることも事実です。
そのため、国土交通省ではガイドラインの改正をするとともに、地方公共団体に協力を求めて安全な環境を整える方針を立てています。
東京都や埼玉県、島根県などでは既に屋上看板の点検は義務化されており、全国に広がっていく可能性があります。
参考: https://www.mlit.go.jp/common/001194384.pdf
屋上看板の点検方法
屋上看板の点検では基礎部や上部構造、支持部や取付け部、照明装置や広告板などが求められています。
遠方からの目視で点検できる内容ではないため、屋上看板の近くで作業をすることが必要です。
屋上看板の点検方法は看板の設置状況や屋上の設備環境によって違いますが、一般的には4つの方法があります。
屋上での点検
建物の屋上に出て直接看板の作業をできる場合があります。
屋上での点検はキャットウォークと手すりが設けられていれば誰でも可能です。
屋上看板を設置する際には点検の必要性を考えて屋上で点検しやすい安全設備を整えておくと、点検コストを下げられるでしょう。
ロープアクセスによる点検
屋上からの直接作業が難しい場合でも、フックをかけてロープを固定できる場合にはロープアクセスで点検が可能です。
ロープアクセスは足下が安定しないので大きな工事はできませんが、看板の状況を点検するくらいであれば対応できます。
高所作業車での点検
高所作業車を使用して屋上看板の点検をすることも可能です。
近くに高所作業車を停める場所があり、電線や樹木といった障害物がないときにできる点検方法です。
高所作業車を用意すれば、ロープアクセスなどをする必要なく安全に点検作業を実施できます。
仮設足場を組み立てて点検
屋上看板の点検では仮設足場を設置しなければならない場合もあります。
建物の周囲に足場を組み立てられるスペースがなければできない作業方法です。
手すりのある仮設足場を設置すれば安全な点検作業ができますが、足場の設置と解体に費用も日数もかかるのがデメリットです。
屋上看板の点検をするたびに大きな費用負担があり、建物の利用にも支障をきたすのであまり好まれていません。
屋上看板の点検に対応するための資格
屋上看板の点検の義務化の動きを受けて、点検業者が適切な対応をするためには資格が必要です。
点検方法ごとに必要な資格を確認しておきましょう。
フルハーネス特別教育
フルハーネス特別教育は、屋上看板の点検で高所作業をする場合には必要です。
手すりがない屋上での点検作業ではフルハーネスを装着して作業しなければなりません。
屋上に安全な環境が整っていない現場での作業では不可欠の資格です。
高所作業車特別講習・技能講習
高所作業車を使用して屋上看板の点検をする場合には、高所作業車を運転するための特別講習または技能講習を受けた人が必要です。
作業床が10m未満の場合には特別講習で問題ありませんが、10m以上になる場合には技能講習の修了が求められています。
ロープ高所作業特別教育
ロープアクセスで屋上看板の点検をする場合には、ロープ高所作業特別教育を修了して資格を持っている人が対応しなければなりません。
看板が設置されている屋上に安全なキャットウォークを設置できず、周囲が狭くて高所作業車も仮設足場も使えない場合もあります。
点検業者ではロープ高所作業特別教育を従業員に受けさせ、必要な装備を用意しておいた方が良いでしょう。
まとめ
屋外広告物の落下や転倒による事故の被害が発生したのを受けて、屋上看板の点検は義務化される方向に進んでいます。
既に義務化されている地域も多いので、今後は屋上看板の点検の需要が高まっていくでしょう。
屋上や建物の周辺環境に応じて安全に点検できる方法を選んで対応していくのが点検業者にとって重要です。
事故が起こってしまったら取り返しがつかないので、安全性の高さと作業性をバランスよく検討し、しっかりと点検のできる方法を検討しましょう。
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